徳島県で、道端の草むらで眠り込んだ祖父に憑いたという霊。行き倒れて祀られぬ六部と分かった。
六部の霊とはどんな妖怪か
六部の霊は、祀られぬために憑いた霊です。徳島県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、香川雅信「「障り信仰」の論理あるいは非―論理(一)」(『四国民俗』四国民俗学会、1998年)を典拠に、母方の祖父が、道すがら突然睡魔に襲われ、道端の草むらで眠り込んでしまった。しばらくすると急に寒くなったので驚いて家に戻り、布団を何枚もかぶって寝込んでしまった。髪を振り乱した女が見ているなどと言うので祈祷師に見てもらうと、件の草むらで空腹のために行き倒れて死んだ六部が、誰にも祀ってもらえないために取り憑いたとわかったと記します。
見えた姿と正体が違います。
祖父が言ったのは髪を振り乱した女でしたが、正体は六部でした。
この図鑑には六部の亡霊(山梨)も収めています。
六部の霊の漢字表記と読み方
読みは「ろくぶのれい」です。
「六部」は六十六部、諸国の霊場をめぐる巡礼者のことです。
「祈祷師」は、祈って災いを祓う人のことです。
「行き倒れ」は道で倒れて死ぬことです。
この図鑑には六部の亡霊(山梨)も収めています。
六部の霊(ろくぶのれい)
日文研データベースが示す呼称。
障り(さわり)
論文名が使う、憑いて災いをなすことの言い方です。
六部の霊の姿と特徴
六部の霊の話は、記録に順を追って書かれています。
その人 … 母方の祖父。
起きたこと(一) … 道すがら突然睡魔に襲われた。
したこと … 道端の草むらで眠り込んだ。
しばらくして … 急に寒くなった。
したこと … 驚いて家に戻り、布団を何枚もかぶって寝込んだ。
言ったこと … 髪を振り乱した女が見ている。
見てもらった相手 … 祈祷師。
分かったこと(一) … 件の草むらで空腹のために行き倒れて死んだ六部。
分かったこと(二) … 誰にも祀ってもらえないために取り憑いた。
六部の姿は書かれていません。
六部の霊の伝承記録
道で眠り込む
母方の祖父が、道すがら突然睡魔に襲われ、道端の草むらで眠り込んでしまいました。
急に来たのは眠気です。
急に寒くなる
しばらくすると急に寒くなったので驚いて家に戻り、布団を何枚もかぶって寝込んでしまいました。
変わったのは寒さです。
髪を振り乱した女
髪を振り乱した女が見ているなどと言いました。
見えたのは女でした。
正体は六部
祈祷師に見てもらうと、件の草むらで空腹のために行き倒れて死んだ六部が、誰にも祀ってもらえないために取り憑いたとわかりました。
理由は祀られぬことです。
六部の霊の伝承地域
公的データベースの地域欄は徳島県までで、市郡までは示されていません。
論文名は「障り信仰」の論理あるいは非―論理です。
六部の霊の正体と考えられているもの
六部の霊は、祀られぬために憑いた霊です。
恨みは書かれていません。 語られているのは、何が見えたかと、なぜ憑いたかです。
見えた姿が女で正体が六部という食い違いを、祈祷師が解いたという運びです。
この図鑑には六部の亡霊(山梨)も収めています。
六部の霊が登場する作品
六部の霊を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは四国の民俗学会の雑誌です。
祀り手のない死者が憑くという考えは各地にあり、無縁仏をまつる習わしを生みました。
六部の霊が登場する学会誌
四国民俗
四国民俗学会が出した雑誌です。1998年の号に「障り信仰」の論理が載ります。
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六部の霊についてよくある質問
六部の霊とは何ですか。
徳島県で、祖父に憑いたと語られる六部の霊です。
何が起きたのですか。
道端の草むらで眠り込み、急に寒くなって寝込んだといいます。
何が見えたのですか。
髪を振り乱した女が見ていると言ったと記録されています。
なぜ憑いたのですか。
誰にも祀ってもらえないためと祈祷師が見立てました。
六部の霊と併せて覚えたい言葉・用語
六部(ろくぶ)
六十六部、諸国の霊場をめぐる巡礼者のことです。
祈祷師(きとうし)
祈って災いを祓う人のことです。
障り(さわり)
憑いて災いをなすことです。
六部の霊の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。