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栃木県

念力の参詣(ねんりきのさんけい)とはどんな妖怪か|姿と伝承

念力の参詣  / ネンリキノサンケイ

幽霊と霊 各地の伝説

尾張で死んだ人が、同じころ日光山の廟前に参詣する姿で現れたと江戸の随筆が記した話。

念力の参詣の姿を描いた図

Marco Almbauer 「日光東照宮の参道(栃木県日光市山内)」 2019年 / CC0 出典

念力の参詣とはどんな妖怪か

念力の参詣はひとことで言えば、行けなかった参詣です。栃木県の日光山の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、神谷養勇軒新著聞集」(『日本随筆大成第二期』吉川弘文館、1974年)を典拠に、成瀬隼人正は尾張で病気となり、一族の者に是非とも日光山に参詣したいと言ったが、重病故に許されなかった。しかし成瀬は忌日を待って身体を清め、一族に暇乞いして息絶えた。その頃日光山にいた南光坊は、東照宮の廟前に成瀬が参詣に現れるのを見て、いまから世を去ると思い、深く感動し、江戸に飛脚を建たて一族の者に悔やみを言ったというと記します。

時が合っています。

尾張で息絶えたその頃、日光山では参詣する姿が見られました。

念力の参詣の漢字表記と読み方

読みは「ねんりきのさんけい」です。

成瀬隼人正は尾張徳川家の家老の家に伝わる名乗りです。

南光坊は天海のことで、日光山の東照宮を開いた僧として知られます。

「飛脚を建てる」は、急使を出すことを指します。

念力の参詣(ねんりきのさんけい)

日文研データベースが示す呼称は「念力」です。

念力(ねんりき)

データベースの見出しに用いられた語です。

念力の参詣の姿と特徴

念力の参詣の話は、記録に短く書かれています。

… 成瀬隼人正。
場所(一) … 尾張。
起きたこと … 病気となり、日光山に参詣したいと言ったが重病ゆえ許されなかった。
したこと … 忌日を待って身体を清め、一族に暇乞いして息絶えた。
場所(二) … 日光山。
見た人 … 南光坊。
見たもの … 東照宮の廟前に成瀬が参詣に現れる姿。
したこと … 江戸に飛脚を出して一族に悔やみを言った。

姿の様子は書かれていません。

念力の参詣の伝承記録

  1. 参詣を望む
  2. 身を清めて息絶える
  3. 廟前に現れる
  4. 飛脚を出す

参詣を望む

成瀬隼人正は尾張で病気となり、一族の者に是非とも日光山に参詣したいと言いましたが、重病故に許されませんでした。

望みはかなえられませんでした。

身を清めて息絶える

成瀬は忌日を待って身体を清め、一族に暇乞いして息絶えました。

支度を整えています。

廟前に現れる

その頃日光山にいた南光坊は、東照宮の廟前に成瀬が参詣に現れるのを見ました。

見たのは別の人です。

飛脚を出す

いまから世を去ると思い、深く感動し、江戸に飛脚を建たて一族の者に悔やみを言ったといいます。

知らせは日光から出されました。

念力の参詣の伝承地域

公的データベースの地域欄は栃木県までですが、記録が日光山と書いています。

日光山の東照宮は、いまの日光市山内にあります。

日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

日光東照宮の所在地:栃木県日光市山内

報告は吉川弘文館の日本随筆大成によります。

徳川家康をまつる社で、南光坊天海が開いたと伝えられます。

念力の参詣の正体と考えられているもの

念力の参詣は、望みが姿になって現れたとされる話です

祟った話ではありません。 語られているのは、行けなかった参詣が、死のときに果たされたという形です。

見た南光坊は、深く感動したと書かれています。

念力の参詣が登場する作品

念力の参詣を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは日本随筆大成に収められた新著聞集です。

死のときに遠くへ姿を現す話は各地にあり、その65の戦死の知らせと同じ形をとります。

念力の参詣が登場する随筆

新著聞集

神谷養勇軒が編んだ江戸の説話集です。日本随筆大成第二期に収められています。

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念力の参詣についてよくある質問

念力の参詣とは何ですか。

尾張で死んだ人が、同じころ日光山の廟前に参詣する姿で現れたと語られる話です。

誰が見たのですか。

日光山にいた南光坊と記録されています。

南光坊とは誰ですか。

天海のことで、日光山の東照宮を開いた僧として知られます。

そのあとどうしましたか。

江戸に飛脚を出して一族に悔やみを言ったといいます。

念力の参詣と併せて覚えたい言葉・用語

南光坊(なんこうぼう)

天海のこと。日光山の東照宮を開いた僧です。

(びょう)

死者をまつる建物のことです。

暇乞い(いとまごい)

別れのあいさつをすることです。

念力の参詣の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「念力」