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静岡県

山の小僧(やまのこぞう)とはどんな妖怪か|姿と伝承

山の小僧  / ヤマノコゾウ

山の妖怪 各地の伝説

伊豆で山彦を呼ぶ名。駿河では山の婆、遠江では山のおんばアと呼び分けられた。

山の小僧の姿を描いた図

Osumi Akari 「河津七滝の出合滝(静岡県河津町)」 2019年 / CC BY-SA 出典

山の小僧とはどんな妖怪か

山の小僧はひとことで言えば、山彦に与えられた名です。静岡県の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田国男妖怪名彙」(『民間伝承』3巻11号・通巻34号、1938年、12頁)を典拠に、伊豆では山彦のことを山の小僧という。駿河では山の婆、遠江では山のおんばアというと記します。

同じ県の中で、三つの呼び名が並んでいます。 伊豆・駿河・遠江は、いまの静岡県を三つに分けた古い国名です。

山に向かって声を出すと、返ってくる。その返る声に、小僧・婆という人の姿の名が与えられました。

姿を見たという記録はありません。 声だけがあり、名だけが分かれています。

山の小僧の漢字表記と読み方

読みは「やまのこぞう」です。

伊豆では小僧、駿河では、遠江ではおんばア同じ現象に、子ども老女という違う姿の名が付いています。

「おんばア」は、乳母や老女を指す言い方です。返る声の主を、身近な人の姿で思い描いたことが分かります。

山の小僧(やまのこぞう)

伊豆での呼び名。

山の婆(やまのばば)

駿河での呼び名。

山のおんばア(やまのおんばあ)

遠江での呼び名。

山の小僧の姿と特徴

山の小僧に姿はありません。記録にあるのは、呼び名の分かれ方だけです。

伊豆 … 山の小僧。
駿河 … 山の婆。
遠江 … 山のおんばア。

顔も背丈も、どの記録にも書かれていません。

声がどこから返るか、どんな声かも記録されていません。山彦に名を与えたという一点だけが伝えられています。

山の小僧の伝承記録

  1. 一つの県に三つの呼び名
  2. 返る声に姿を与える

一つの県に三つの呼び名

静岡県は、古くは伊豆駿河遠江の三国に分かれていました。

柳田国男の記録は、その三国で山彦の呼び名が違っていたことを並べています

伊豆は小僧、駿河は婆、遠江はおんばア。

同じ山、同じ現象でありながら、思い描かれた姿が違います。呼び名の違いは、そのまま土地の分かれ方を映しています。

返る声に姿を与える

山彦は、声が山に当たって返ってくる現象です。理屈は分かっていても、返ってくる声には、答えている誰かがいるように聞こえます

その誰かに名を与えたのが、山の小僧であり、山の婆でした。

呼子(鳥取)のように、山彦を鳥の名で呼ぶ土地もあります。返る声を何と呼ぶかは、土地ごとに違いました。

静岡では、人の姿の名が選ばれています。

山の小僧の伝承地域

公的データベースの地域欄は静岡県賀茂郡を示します。資料本文は伊豆・駿河・遠江の三国を挙げます。

山や谷の名は記録されていないため、地図で指せるのは地方の範囲までです。

伊豆地方(いずちほう)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

伊豆地方の所在地:静岡県賀茂郡

柳田国男「妖怪名彙」の地域欄に対応します。

資料は伊豆・駿河・遠江の三国での呼び名を並べており、山や谷の名は挙げていません。

山の小僧の正体と考えられているもの

山の小僧の正体は、記録の中でははっきりしています。山彦です。

声が山に当たって返ってくる現象に、小僧という姿の名が与えられました。

なぜ小僧なのか、なぜ隣の国では婆なのかは書かれていません。

分かるのは、返る声を「誰か」として受け取り、土地ごとに違う姿を思い描いたということです。

山の小僧が記録された資料

山の小僧を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田国男の「妖怪名彙」です。

山彦の呼び名は各地にあり、鳥取の呼子、山の山彦などと並べて読むと違いが見えます。

山の小僧が記録された民俗資料

妖怪名彙

柳田国男が『民間伝承』3巻11号(1938年)に載せた中心資料です。

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山の小僧についてよくある質問

山の小僧とはどんな妖怪ですか。

伊豆で山彦を呼ぶ名です。返ってくる声を、小僧という姿のあるものとして呼びました。

ほかの呼び名はありますか。

駿河では山の婆、遠江では山のおんばアと呼ばれたと記録されています。

姿は分かっていますか。

分かっていません。声だけが伝えられ、姿の記述はありません。

山彦とは別のものですか。

同じものです。山彦に土地ごとの名を与えたものが、山の小僧や山の婆です。

山の小僧と併せて覚えたい言葉・用語

山彦(やまびこ)

声が山に当たって返ってくる現象。山の小僧はその伊豆での呼び名です。

遠江(とおとうみ)

静岡県西部の古い国名。ここでは山のおんばアと呼ばれました。

妖怪名彙(ようかいめいい)

柳田国男が『民間伝承』に連載した、各地の妖怪の呼び名を集めた記事です。

山の小僧の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「山の小僧」