静岡県磐田市で、人身御供を取っていた正体が古狸だったという話。

鬼踊とはどんな妖怪か
鬼踊はひとことで言えば、神のふりをしていた古狸です。静岡県磐田市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、鈴木百平「祭禮の鬼」(『郷土研究』4巻2号、1916年、14頁)を典拠に、昔、毎年祭りの夜に1人の処女を人身御供として白木の櫃に入れて神前に供えた。供えた娘は神の生贄になって帰ってこなかった。ある時、訪れた六部が怪物の仕業だろうと怪しみ、白木の櫃の中に犬を入れて供えた。果たして、古狸の仕業であり、古狸は犬に噛み殺されてしまったというと記します。
「六部」は六十六部——全国の霊場を巡る行者です。
犬を入れて確かめるという筋は、しっぺい太郎の話と同じ型です。
この図鑑にも同じ型の話を収めています。
鬼踊の漢字表記と読み方
読みは「おにおどり」です。
報告の題は「祭禮の鬼」です。 祭りに出る鬼を集めた記事の中に、この話が置かれています。
「六部」は六十六部の略です。 全国の霊場に経を納めて回る行者を指します。
鬼踊(おにおどり)
日文研データベースが示す表記。
古狸(ふるだぬき)
同データベースが併記する呼称。正体にあたります。
鬼踊の姿と特徴
この記録に鬼の姿はありません。正体は古狸です。
供え物 … 毎年祭りの夜、一人の処女。
入れ物 … 白木の櫃。
置く場所 … 神前。
結果 … 供えた娘は帰ってこなかった。
見破った人 … 訪れた六部。
確かめ方 … 白木の櫃の中に犬を入れて供えた。
正体 … 古狸。犬に噛み殺された。
踊る姿の記述はありません。
鬼踊の伝承記録
白木の櫃に娘を入れる
毎年、祭りの夜のことです。
一人の処女を人身御供として、白木の櫃に入れて神前に供えました。
供えた娘は、神の生贄になって帰ってきませんでした。
村は、それを神への供え物と信じていました。
毎年続いていたことになります。
犬を入れて確かめる
ある時、六部が訪れました。
怪物の仕業だろうと怪しみます。
そして、白木の櫃の中に犬を入れて供えました。
果たして、古狸の仕業でした。
古狸は、犬に噛み殺されてしまいました。
鬼踊の伝承地域
公的データベースの地域欄は静岡県磐田市を示します。
社の名までは記されていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。磐田市にはしっぺい太郎の伝説も伝わります。
鬼踊の正体と考えられているもの
この話の正体は、記録がはっきり書いています。古狸です。
神を名乗って供え物を取っていたことになります。
見破ったのは土地の外から来た六部でした。
外から来た目には、毎年の習わしが不審に映ります。
この図鑑には、同じ型の話としてしっぺい太郎を収めています。 そちらでは、退治したのは強い犬です。
鬼踊が記録された資料
鬼踊を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『郷土研究』の記事です。
人身御供を犬が救う話は各地にあり、しっぺい太郎の名でよく知られます。この図鑑にも収めています。
鬼踊が記録された民俗資料
祭禮の鬼
鈴木百平が『郷土研究』4巻2号(1916年)に載せた中心資料です。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
鬼踊についてよくある質問
鬼踊とは何ですか。
静岡県磐田市の話です。人身御供を取っていた正体が古狸だったと記録されています。
誰が見破ったのですか。
訪れた六部です。怪物の仕業だろうと怪しみました。
どうやって確かめたのですか。
白木の櫃の中に犬を入れて供えました。
しっぺい太郎と同じですか。
別の記録ですが、犬が人身御供の正体を退治するという同じ型の話です。
鬼踊と併せて覚えたい言葉・用語
六部(ろくぶ)
六十六部の略。全国の霊場に経を納めて回る行者です。
人身御供(ひとみごくう)
神に人を供えること。ここでは毎年一人の処女でした。
白木の櫃(しらきのひつ)
塗りをしない木の箱。娘を入れて供えました。
鬼踊の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。