静岡県静岡市の話。狐狸の出る森に住みついた他国者。死後、歯痛を止める観音になった。

勘次観音とはどんな妖怪か
勘次観音は、祀られた他国者です。静岡県静岡市葵区の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、戸塚孝一郎「石仏巡礼(三)勘次観音」(『民俗静岡』静岡民俗の会、1972年)を典拠に、昔、狐や狸が出る薄気味悪い森があり、村人は寄りつかなかったが、他国者の勘次が小屋を建てて住みついたと記します。
二つの顔があります。
酒好きで子供を大変かわいがったため、子供らもなついていた。貧しい人を助けたりもした。一方で、酒乱のために村人に乱暴を働き、恐れられたと続き、弘化3年に彼が死ぬと村人は勘次観音を立てて祀り、以来、歯痛を止める観音として知られていると結ばれます。
この図鑑には狒々(静岡)も収めています。
勘次観音の漢字表記と読み方
読みは「かんじかんのん」です。
「弘化3年」は、西暦1846年にあたります。
「石仏巡礼」は、各地の石仏を訪ね歩く連載の題です。
「歯痛を止める」は、歯の痛みを抑えることです。
この図鑑には狒々(静岡)も収めています。
勘次観音(かんじかんのん)
日文研データベースが示す呼称です。
他国者(たこくもの)
記録が示す語です。よその土地から来た人をいいます。
酒乱(しゅらん)
記録が示す語です。酒に酔って乱れることをいいます。
勘次観音の姿と特徴
勘次観音の話は、記録に順を追って書かれています。
その場所 … 狐や狸が出る薄気味悪い森。
村人の様子 … 寄りつかなかった。
その人 … 他国者の勘次。
したこと … 小屋を建てて住みついた。
よいところ(一) … 酒好きで子供を大変かわいがった。
よいところ(二) … 貧しい人を助けた。
恐れられたところ … 酒乱のために村人に乱暴を働いた。
死んだ年 … 弘化3年。
村人のしたこと … 勘次観音を立てて祀った。
今の効き目 … 歯痛を止める観音として知られる。
勘次観音の伝承記録
狐狸の森
昔、狐や狸が出る薄気味悪い森がありました。
避けたのは村人です。
住みついた他国者
他国者の勘次が小屋を建てて住みつきました。
入ったのは寄りつかない森です。
子どもになつかれる
酒好きで子供を大変かわいがったため、子供らもなついていました。
慕われたのは子どもにです。
酒乱で恐れられる
一方で、酒乱のために村人に乱暴を働き、恐れられました。
恐れられたのは酔ったときです。
弘化三年に死ぬ
弘化3年に彼が死にました。
去ったのはその年です。
歯痛の観音
村人は勘次観音を立てて祀り、以来、歯痛を止める観音として知られています。
祀られたのは恐れられた人です。
勘次観音の伝承地域
公的データベースの地域欄は静岡県、市郡名の欄は静岡市、区町村名の欄は葵区を示します。
報告の題は石仏巡礼(三)勘次観音で、石仏を訪ね歩く連載の一つです。
勘次観音の正体と考えられているもの
勘次観音は、祀られた他国者です。
怪しいものの話ではありません。 語られているのは、恐れられながら慕われもした人と、死後に観音として祀られたことです。
恐れられた人を祀り直して神仏とする語りは、各地の石仏にあります。
この図鑑には狒々(静岡)も収めています。
勘次観音が登場する作品
勘次観音を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは静岡の民俗誌に載った石仏の報告です。
歯痛に効く石仏は各地にあり、多くは非業に死んだ人や他国者を祀ったものです。
勘次観音が登場する雑誌
民俗静岡
静岡民俗の会が出した雑誌です。1972年の号に石仏巡礼が載ります。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
勘次観音についてよくある質問
勘次観音とは何ですか。
静岡県静岡市葵区にある観音で、他国者の勘次を祀ったものです。
勘次とはどんな人ですか。
酒好きで子供をかわいがり貧しい人を助けた一方、酒乱で村人に乱暴も働いたといいます。
いつ死んだのですか。
弘化3年、西暦1846年だと記されています。
何に効くのですか。
歯痛を止める観音として知られていると記されています。
勘次観音と併せて覚えたい言葉・用語
他国者(たこくもの)
よその土地から来た人のことです。
弘化(こうか)
江戸時代の年号です。弘化3年は西暦1846年にあたります。
石仏(せきぶつ)
石で作った仏像のことです。
勘次観音の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。