大阪の曾根崎新地で、家と金に心残りした老妓が夜毎火の玉になって飛んだという。

Hyppolyte de Saint-Rambert 「露天神社の水天宮・金刀比羅宮(大阪市北区曽根崎)」 2024年 / CC BY 出典
入魂とはどんな妖怪か
入魂はひとことで言えば、家に残った未練の火です。大阪府大阪市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、船本茂兵衛「上方怪異備忘録」(『郷土研究上方』3巻33号・通巻33号、1933年、46頁)を典拠に、曾根崎新地に住んでいた老妓が、死後も家と金に心残りし、夜毎火の玉となって出てきては、家の周囲を飛び回った。昨今は、新地の裏町を夜更けに通る者は稀だというと記します。
「曾根崎新地」は大阪の花街です。
「老妓」は年を重ねた芸妓です。
心残りしたのは、家と金でした。
入魂の漢字表記と読み方
読みは「にゅうこん」です。
「入魂」は、ふつう「じっこん」と読めば親しい間柄を指しますが、ここでは別の意味です。
魂が入る、あるいは魂がこもるという意味で使われているとみられます。
入魂(にゅうこん)
日文研データベースが示す表記と読み。
火の玉(ひのたま)
記録が使う言い方。
入魂の姿と特徴
入魂は、火の玉の姿です。
もとの人 … 曾根崎新地に住んでいた老妓。
心残り … 家と金。
出る時 … 夜毎。
飛ぶ場所 … 家の周囲。
その後 … 新地の裏町を夜更けに通る者は稀になった。
大きさや色は書かれていません。
入魂の伝承記録
家の周りを飛び回る
曾根崎新地に住んでいた老妓が亡くなりました。
死後も、家と金に心残りしました。
そして、夜毎火の玉となって出てきては、家の周囲を飛び回りました。
遠くへは行きません。 家のまわりだけです。
この図鑑には人魂も収めています。
夜更けに通る者が絶える
昨今は、新地の裏町を夜更けに通る者は稀だといいます。
噂が、人の通り道を変えました。
花街の裏町は、もともと夜に人の通る場所です。
そこを避けるようになったというところに、この話の重みが出ています。
記録の題は「上方怪異備忘録」です。
入魂の伝承地域
公的データベースの地域欄は大阪府大阪市を示します。記録は曾根崎新地と記します。
現在の北新地にあたります。家の位置までは書かれていません。
入魂の正体と考えられているもの
この火の正体は、記録がはっきり書いています。老妓の未練です。
心残りしたのは、家と金でした。
恨みや祟りとしては語られていません。 持っていたものへの執着として語られています。
この図鑑には人魂、遊び魂(兵庫)も収めています。
遊び魂は死の前に光り、こちらは死の後に光ります。
入魂が記録された資料
入魂を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『郷土研究上方』の記事です。
題のとおり、上方の怪異を書き留めた記事で、大阪の他の話も並びます。曾根崎は近松門左衛門の『曽根崎心中』の舞台としても知られます。
入魂が記録された民俗資料
上方怪異備忘録
船本茂兵衛が『郷土研究上方』通巻33号(1933年)に載せた中心資料です。
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入魂についてよくある質問
入魂とは何ですか。
大阪の曾根崎新地で、死後も家と金に心残りした老妓が火の玉になって出たという話です。
どこを飛ぶのですか。
自分の家の周囲を、夜毎飛び回ったと記録されています。
今はどうなっていますか。
記録は「新地の裏町を夜更けに通る者は稀だ」と書いています。
曾根崎新地とはどこですか。
大阪の花街です。現在の北新地にあたります。
入魂と併せて覚えたい言葉・用語
老妓(ろうぎ)
年を重ねた芸妓のことです。
曾根崎新地(そねざきしんち)
大阪の花街。現在の北新地にあたります。
郷土研究上方(きょうどけんきゅうかみがた)
上方の郷土誌。この記録が載りました。
入魂の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。