岡山県で、庄屋の家に石が降り、望んだ食べ物が落ちてきたという怪異。下女に暇を出すと止んだ。
石降りとはどんな妖怪か
石降りはひとことで言えば、物が降る家です。岡山県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、今村勝彦「岡山の石」(『郷土』2巻1・2・3号、1932年、168頁)を典拠に、次のように記します。
庄屋の嫁が背中へ痛みを感じてから、家の中へ石が降ったり、焚いた豆腐が落ちたりなどの不思議が起こった。主人が旨いものをと言うと牛蒡が降ったので、もっとうまいものをというと蕗葉へ三つ葉の味噌アエ物が落ちてきた。若い下女に暇をやると怪異はなくなった。
始まりは、嫁の背中の痛みです。 そこから家の中へ物が降り始めました。
注文に応じて食べ物が落ちてくるという展開が独特です。石から、牛蒡、味噌和えへと変わっていきます。
そして、若い下女に暇を出すと止みました。
石降りの漢字表記と読み方
読みは「いしふり」です。
家の中に石が降るという怪異は各地にあります。天狗のしわざ、狸のしわざとされることもあります。
この記録では、正体は書かれていません。 ただ、下女に暇を出すと止んだという結末が付いています。
石降り(いしふり)
日文研データベースが示す漢字表記。
イシフリ(いしふり)
同データベースの呼称読み。
石降りの姿と特徴
この怪異に姿はありません。記録にあるのは、降ってきたものです。
始まり … 庄屋の嫁が背中に痛みを感じた。
降ったもの1 … 石。
降ったもの2 … 焚いた豆腐。
注文に応じて … 牛蒡。蕗の葉に三つ葉の味噌和え。
終わり … 若い下女に暇をやると止んだ。
姿を見た、声を聞いたという記述はありません。
石降りの伝承記録
注文すると、食べ物が降る
はじめは石でした。次に焚いた豆腐が落ちます。
そこで主人が、旨いものをと言いました。
すると牛蒡が降ってきました。 さらにもっとうまいものをと言うと、蕗の葉に三つ葉の味噌和えが落ちてきました。
怪異と、注文のやり取りが成り立っています。
恐れるだけでなく、試しているところが、この話の面白さです。
下女に暇を出すと止んだ
結末は短く書かれています。若い下女に暇をやると怪異はなくなった。
理由は書かれていません。
家に居る特定の人と、怪異が結び付けられています。ポルターガイストと呼ばれる現象で、しばしば語られる形です。
下女がどうなったかも記録されていません。
始まりは嫁の背中の痛み、終わりは下女の解雇。 家の中の人をめぐって、怪異が語られています。
石降りの伝承地域
公的データベースの地域欄は、岡山市北区の一部、倉敷市の一部、総社市の大部分、加賀郡吉備中央町の一部を示します。
家の位置は書かれていないため、地図で指せるのは広い地域の範囲までです。
岡山県内(おかやまけんない)
日文研データベースが示す伝承地域
岡山県内の所在地:岡山県
記録は岡山市北区・倉敷市・総社市・吉備中央町にまたがる地域を示します。
庄屋の家の位置は資料に書かれていません。
石降りの正体と考えられているもの
石降りの正体は書かれていません。
狐や狸のしわざとも、天狗とも記されていません。
始まりは嫁の背中の痛み、終わりは下女の解雇。 家の中の人と結び付けて語られています。
物が降る、動くという怪異は各地にあります。 特定の人がいるあいだだけ起こるという形は、よく語られました。
記録は、その形をそのまま伝えています。
石降りが記録された資料
石降りを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『郷土』の記事です。
題のとおり、岡山の石にまつわる話を集めた記事です。石の伝説をまとめた郷土資料と併せて読むと、土地の石への関心が見えてきます。
石降りが記録された民俗資料
岡山の石
今村勝彦が『郷土』2巻1・2・3号(1932年)に載せた中心資料です。
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石降りについてよくある質問
石降りとは何ですか。
岡山県の庄屋の家に石や食べ物が降ったという怪異です。若い下女に暇を出すと止んだと記録されています。
何が降ってきたのですか。
石、焚いた豆腐、牛蒡、蕗の葉に三つ葉の味噌和えが記録されています。
なぜ止まったのですか。
理由は記録されていません。若い下女に暇をやると怪異はなくなったとだけ書かれています。
正体は分かっていますか。
分かっていません。狐や狸のしわざとも書かれていません。
石降りと併せて覚えたい言葉・用語
庄屋(しょうや)
村の長にあたる役。この家で怪異が起きました。
暇をやる(ひまをやる)
奉公人を辞めさせること。これで怪異が止んだとされます。
郷土(きょうど)
岡山の郷土誌。石降りの記録が載りました。
石降りの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。