大分県臼杵市で、漁のさなかに柄杓を貸せと言い、底を抜かずに貸すと潮を汲み込むという海で死んだ者。

yano@mama.akari.ne.jp 「臼杵港(大分県臼杵市)」 2013年 / CC BY-SA 3.0 出典
幻とはどんな妖怪か
幻はひとことで言えば、柄杓を求める声です。大分県臼杵市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、瀬川清子「海の人々(二)」(『ひだびと』飛騨考古土俗学会、1940年)を典拠に、漁のとき、舵をとられていると「柄杓を貸さんか」と言われることがある。このときに底を抜いた柄杓を貸さないと潮を汲み込まれる。これは海で死んだ人間で、幻のようなものの仕業と記します。
渡し方が決まっています。
貸すこと自体は許されますが、底を抜いてから渡さねばなりませんでした。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
幻の漢字表記と読み方
読みは「まぼろし」です。
「柄杓」は、水をくむための柄の付いた道具です。
「舵をとられている」は、舵を握って船を操っている最中を指します。
「潮を汲み込まれる」は、海水を船に入れられて沈められることです。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。どちらも柄杓を求める話です。
幻(まぼろし)
日文研データベースが示す呼称。
柄杓貸せ(ひしゃくかせ)
同じたぐいの話に付けられる呼び名です。
幻の姿と特徴
幻の様子は、記録に短く書かれています。
いつ現れるか … 漁のとき、舵をとられているとき。
言うこと … 柄杓を貸さんか。
正しい渡し方 … 底を抜いた柄杓を貸す。
そうしないと … 潮を汲み込まれる。
その正体 … 海で死んだ人間。
そのありよう … 幻のようなもの。
姿かたちは書かれていません。
幻の伝承記録
舵をとる最中
漁のとき、舵をとられていると「柄杓を貸さんか」と言われることがあります。
手がふさがっているときです。
底を抜いて貸す
このときに底を抜いた柄杓を貸します。
渡し方に決まりがあります。
潮を汲み込まれる
底を抜いた柄杓を貸さないと潮を汲み込まれます。
そのままでは沈められます。
海で死んだ人間
これは海で死んだ人間で、幻のようなものの仕業といいます。
正体は死者とされました。
幻の伝承地域
公的データベースの地域欄は大分県臼杵市を示します。
臼杵は豊後水道に面しています。
幻の正体と考えられているもの
幻は、海で死んだ者とされた声です。
姿は書かれていません。 語られているのは、求めるものと、渡し方です。
底を抜けば汲めない、という理屈が対処の芯にあります。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
幻が登場する作品
幻を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の郷土雑誌です。
柄杓を求める海の死者の話は各地の漁村にあり、底を抜いて渡す対処が共通します。この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
幻が登場する雑誌
ひだびと
飛騨考古土俗学会が出した雑誌です。1940年の号に海の人々が載ります。
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幻についてよくある質問
幻とは何ですか。
大分県臼杵市で、漁のさなかに柄杓を求めるとされた、海で死んだ者です。
どう対処するのですか。
底を抜いた柄杓を貸すと記録されています。
そうしないとどうなりますか。
潮を汲み込まれるといいます。
いつ現れるのですか。
漁のとき、舵をとっている最中と記録されています。
幻と併せて覚えたい言葉・用語
柄杓(ひしゃく)
水をくむための柄の付いた道具です。
潮(しお)
ここでは海水のことです。
豊後水道(ぶんごすいどう)
九州と四国の間の海です。
幻の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。