新潟県南蒲原郡の堤防にいたという蛇。頭も尾も同じ太さで、ぴょんぴょんと跳ねて動く。
横槌蛇とはどんな妖怪か
横槌蛇はひとことで言えば、跳ねて進む寸胴の蛇です。新潟県南蒲原郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、柳田国男「妖怪名彙(三)」(『民間伝承』3巻12号・通巻35号、1938年、12頁)を典拠に、堤防の上に横槌蛇というものがいた。頭も尾も同じ太さで、ぴょんぴょんとはねて動くと記します。
横槌は、藁を打つのに使う木槌です。寸胴で短いその形から名が付きました。
這うのではなく、跳ねて動くという点が、普通の蛇と違います。
大きさ、色、毒の有無は記録されていません。
横槌蛇の漢字表記と読み方
読みは「よこづちへび」です。
「横槌」は、藁を打ち柔らかくするための木槌です。柄が短く、頭が太い形をしています。
その形をした蛇、という名の付け方です。同じ形から名が付いた蛇に、各地の野槌があります。「槌のような蛇」という見立ては、土地を越えて共通しています。
横槌蛇(よこづちへび)
日文研データベースが示す漢字表記。
ヨコヅチヘビ(よこづちへび)
同データベースの呼称読み。
横槌蛇の姿と特徴
横槌蛇の姿は、記録にはっきり書かれています。
形 … 頭も尾も同じ太さ。
動き … ぴょんぴょんとはねる。
場所 … 堤防の上。
細長い蛇ではなく、寸胴の形をしています。
大きさ、色、噛むかどうかは記録されていません。人が襲われたという話もありません。
横槌蛇の伝承記録
槌の形をした蛇
記録の要は、頭も尾も同じ太さという一点です。
蛇は普通、頭から尾へ細くなります。それが同じ太さであれば、見た目は槌に近づきます。
各地に伝わる野槌も同じ見立てです。槌のような蛇という形は、日本の各地で語られてきました。
横槌蛇は、その新潟での呼び名にあたります。
堤防の上で跳ねる
いた場所は堤防の上です。川と田をへだてる、人がよく歩く道でもあります。
そこで、ぴょんぴょんとはねて動くものが見られました。
這わずに跳ねるという動きは、蛇としては異様です。形と動きの二つが普通と違うことで、この蛇は名を得ました。
捕まえた、殺したという話は記録されていません。
横槌蛇の伝承地域
公的データベースの地域欄は新潟県南蒲原郡を示します。
堤防や川の名は記録されていないため、地図で指せるのは郡の範囲までです。
南蒲原郡周辺(みなみかんばらぐんしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
南蒲原郡周辺の所在地:新潟県南蒲原郡
柳田国男「妖怪名彙(三)」の地域欄に対応します。
資料には、堤防の名も川の名もありません。
横槌蛇の正体と考えられているもの
横槌蛇の正体は確定していません。
寸胴で跳ねる蛇という記述から、実際の蛇を見誤った可能性も考えられますが、資料はそこに触れていません。
各地の野槌と同じ見立てであることは確かです。槌の形をした蛇という姿が、土地を越えて語られてきました。
新潟の堤防では、それが「横槌蛇」と呼ばれていました。
横槌蛇が記録された資料
横槌蛇を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは柳田国男の「妖怪名彙」です。
野槌やツチノコを扱った本では、槌形の蛇の各地の呼び名として触れられることがあります。
横槌蛇が記録された民俗資料
妖怪名彙(三)
柳田国男が『民間伝承』3巻12号(1938年)に載せた中心資料です。
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横槌蛇についてよくある質問
横槌蛇とはどんな妖怪ですか。
新潟県南蒲原郡の堤防にいたとされる蛇です。頭も尾も同じ太さで、ぴょんぴょんと跳ねて動くと記録されています。
名前の由来は何ですか。
横槌は藁を打つ木槌のことです。寸胴で短いその形に似ていることから名が付きました。
毒はありますか。
記録されていません。人が襲われたという話も伝わっていません。
野槌と同じものですか。
同じ「槌のような蛇」という見立てです。横槌蛇は新潟での呼び名にあたります。
横槌蛇と併せて覚えたい言葉・用語
横槌(よこづち)
藁を打ち柔らかくする木槌。柄が短く頭が太い形をしています。
野槌(のづち)
各地に伝わる槌の形をした蛇。同じ見立ての名です。
南蒲原郡(みなみかんばらぐん)
新潟県の郡名。横槌蛇が記録された地域です。
横槌蛇の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。