長崎県の話。ヤコに憑かれた人の名を木札に書き、釘を刺すと狐が名乗るという祈祷。
稲荷おとしとはどんな妖怪か
稲荷おとしは、ヤコを落とすための祈祷です。長崎県の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、石毛直道、松原正毅、石森秀三、森和則「カミ,つきもの,ヒト」(『季刊人類学』京都大学人類学研究室、1974年)を典拠に、稲荷おとしの加持祈祷の方法。神社で七日七晩おそなえし祈祷すると記します。
木札を使います。
そして木札にヤコにつかれた人の名前を書いておき、長いクギを突き刺すと、ヤコつきが「自分はどこそこのヤコだ」と口ばしると結ばれます。
この図鑑にはインネン(長崎)も収めています。
稲荷おとしの漢字表記と読み方
読みは「いなりおとし」です。
「ヤコ」は、九州で狐の憑きものを指す言い方です。
「加持祈祷」は、仏や神に祈って病や災いを除くことです。
「口ばしる」は、思わず口に出すことです。
この図鑑にはインネン(長崎)も収めています。
稲荷おとし(いなりおとし)
データベースの呼称欄は「稲荷おとしの加持祈祷」と示します。
ヤコ(やこ)
記録が示す語です。九州で狐の憑きものを指します。
加持祈祷(かじきとう)
記録が示す語です。仏や神に祈って病や災いを除くことをいいます。
稲荷おとしの姿と特徴
稲荷おとしの方法は、記録に順を追って書かれています。
どこで … 神社。
どれだけ … 七日七晩。
すること(一) … おそなえし祈祷する。
用いるもの … 木札。
書くもの … ヤコにつかれた人の名前。
すること(二) … 長いクギを突き刺す。
そのとき起きること … ヤコつきが「自分はどこそこのヤコだ」と口ばしる。
狐の姿は出てきません。
稲荷おとしの伝承記録
神社で七日七晩
神社で七日七晩おそなえし祈祷します。
続けるのは七日です。
木札に名を書く
木札にヤコにつかれた人の名前を書いておきます。
書くのは憑かれた人の名です。
長い釘
長いクギを突き刺します。
刺すのは木札です。
名乗る
ヤコつきが「自分はどこそこのヤコだ」と口ばしります。
明かすのはどこの狐かです。
稲荷おとしの伝承地域
公的データベースの地域欄は長崎県を示すのみで、市郡名・区町村名の欄は空欄です。
報告の題はカミ,つきもの,ヒトで、憑きものをめぐる調査をまとめたものです。
稲荷おとしの正体と考えられているもの
稲荷おとしは、ヤコを落とすための祈祷です。
姿のあるものではありません。 語られているのは、七日七晩の祈祷と、釘を刺すと狐が名乗ることです。
憑いたものに名を名乗らせる手順は、各地の憑きもの落としに共通します。
この図鑑にはインネン(長崎)も収めています。
稲荷おとしが登場する作品
稲荷おとしを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは人類学の雑誌に載った調査報告です。
ヤコ憑きの話は九州に広くあり、落とす側の手順まで書きとめられることがあります。
稲荷おとしが登場する雑誌
季刊人類学
京都大学人類学研究室が出した雑誌です。1974年の号に憑きものの調査が載ります。
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稲荷おとしについてよくある質問
稲荷おとしとは何ですか。
長崎県に伝わる、ヤコに憑かれた人からそれを落とすための加持祈祷です。
どうやるのですか。
神社で七日七晩祈祷し、木札に憑かれた人の名を書いて長い釘を刺すと記されています。
何が起きますか。
憑かれた人が「自分はどこそこのヤコだ」と口走るといいます。
ヤコとは何ですか。
九州で狐の憑きものを指す言い方です。
稲荷おとしと併せて覚えたい言葉・用語
ヤコ(やこ)
九州で狐の憑きものを指す言い方です。
加持祈祷(かじきとう)
仏や神に祈って病や災いを除くことです。
木札(きふだ)
文字を書きつける木の札のことです。
稲荷おとしの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。