長野県茅野市の立科山で、大木を伐る人足に起きた怪異。声を出すと雨、静かにすれば晴れた。

Tomio344456 「白樺湖から見た蓼科山(長野県茅野市)」 2009年 / CC BY-SA 4.0 出典
山の怪異とはどんな妖怪か
山の怪異は、声で天気が変わる山です。長野県茅野市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、高橋宏一「蓼科山紀行」(『旅と伝説』三元社、1931年)を典拠に、引用文献に『信濃国怪異奇談』を挙げて、享保20年乙卯8月、立科山(古名高井山)で3千人余りの人足が大木を切ろうとしたところ、様々な怪異が起こった。谷底に大音声が響き、小屋の近くに大木が倒れる音がして、外に出ることもできなかった。しかし、夜が明けてみてみると、何もない。木を引き出すとき、声をだすと大雨が降り、声を出さずに静かにしていれば晴天になったと記します。
朝には何も残っていません。
夜が明けてみてみると何もないのです。
この図鑑には山彦(各地)も収めています。
山の怪異の漢字表記と読み方
読みは「やまのかいい」です。
記録は「立科山」に括弧で「古名高井山」と添えています。
「享保20年」は1735年にあたります。
「人足」は、力仕事にあたる人のことです。
「大音声」は、大きな声や音のことです。
この図鑑には山彦(各地)も収めています。
山の怪異(やまのかいい)
日文研データベースが示す呼称。
高井山(たかいやま)
記録が括弧で添える、立科山の古名です。
山の怪異の姿と特徴
山の怪異の話は、記録に順を追って書かれています。
そのとき … 享保20年乙卯8月。
その場所 … 立科山(古名高井山)。
その人数 … 3千人余りの人足。
しようとしたこと … 大木を切る。
起きたこと … 様々な怪異。
怪異(一) … 谷底に大音声が響いた。
怪異(二) … 小屋の近くに大木が倒れる音がした。
そのときのようす … 外に出ることもできなかった。
夜が明けると … 何もない。
木を引き出すとき(一) … 声をだすと大雨が降った。
木を引き出すとき(二) … 声を出さずに静かにしていれば晴天になった。
怪異を起こしたものの姿は書かれていません。
山の怪異の伝承記録
三千人の人足
享保20年乙卯8月、立科山(古名高井山)で3千人余りの人足が大木を切ろうとしました。
集まったのは三千人余りです。
谷底の大音声
谷底に大音声が響き、小屋の近くに大木が倒れる音がして、外に出ることもできませんでした。
聞こえたのは音です。
朝には何もない
しかし、夜が明けてみてみると、何もありません。
残らないのは跡です。
声を出すと雨
木を引き出すとき、声をだすと大雨が降り、声を出さずに静かにしていれば晴天になりました。
変わるのは天気です。
山の怪異の伝承地域
公的データベースの地域欄は長野県、市郡名の欄は茅野市を示します。
論文名は蓼科山紀行で、立科山を歩いた記録です。
山の怪異の正体と考えられているもの
山の怪異は、声で天気が変わる山です。
姿は出てきません。 語られているのは、夜に何が聞こえたかと、声がどう働くかです。
大木を伐るという仕事のあいだだけ起きるところが、山の禁を語っています。
この図鑑には山彦(各地)も収めています。
山の怪異が登場する作品
山の怪異を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の伝説雑誌です。
山で声を出してはいけないという戒めは各地にあり、木を伐る仕事でとくに守られました。
山の怪異が登場する雑誌
旅と伝説
三元社が出した伝説の雑誌です。1931年の号に蓼科山紀行が載ります。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
山の怪異についてよくある質問
山の怪異とは何ですか。
長野県茅野市の立科山で、大木を伐る人足に起きたという怪異です。
いつのことですか。
享保二十年八月、いまの1735年にあたります。
何が起きたのですか。
谷底に大音声が響き、大木が倒れる音がしましたが、朝には何もありませんでした。
声と天気の関わりは。
声を出すと大雨が降り、静かにしていれば晴天になったといいます。
山の怪異と併せて覚えたい言葉・用語
人足(にんそく)
力仕事にあたる人のことです。
大音声(だいおんじょう)
大きな声や音のことです。
立科山(たてしなやま)
長野県の蓼科山のことです。
山の怪異の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。