長野県南相木村で、三峰のお犬様が夜道を守った。鼻緒が切れたら声をかけるという決まりがあった。

Qurren 「南相木ダム(長野県南佐久郡南相木村)」 2006年 / CC BY-SA 3.0 出典
御犬様とはどんな妖怪か
御犬様はひとことで言えば、守ってくれる代わりに作法を求める犬です。長野県南佐久郡南相木村の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、国学院大学民俗文学研究会「世間話」(『伝承文芸』通巻19号、1995年、71頁)を典拠に、三峰のお犬様が夜必ず人を守ってくれた。その代り鼻緒がきれたときには必ず声をかける。いわないと石を持って投げると思って犬に飛びつかれると記します。
三峰は、埼玉県秩父の三峯神社です。狼を眷属とする信仰で知られます。
守ってくれるのは、夜道です。 送り犬の話と近い形ですが、こちらは守る側です。
そして、鼻緒が切れたときの作法があります。
御犬様の漢字表記と読み方
読みは「おいぬさま」です。
三峯神社では、狼をお犬様と呼び、眷属として信仰します。盗難除け、火除けの護符が知られます。
「様」が付く点が要です。 敬って呼ぶ相手として語られます。
御犬様(おいぬさま)
日文研データベースが示す漢字表記。
お犬様(おいぬさま)
記録の本文での書き方。
送り狼(おくりおおかみ)
同データベースが併記する呼称。
御犬様の姿と特徴
御犬様の姿は、犬(狼)です。
役目 … 夜、必ず人を守ってくれる。
求められる作法 … 鼻緒が切れたときには必ず声をかける。
言わないと … 石を持って投げると思われ、飛びつかれる。
大きさや毛色は書かれていません。
姿を見たという記述もありません。
御犬様の伝承記録
夜道を守ってくれる
三峰のお犬様は、夜必ず人を守ってくれたといいます。
夜道には、獣も、山賊も、闇そのものの恐れもありました。
送り犬や送り狼は、転ぶと襲うとも語られます。この土地のお犬様は、守る側です。
ただし、条件が付きます。
鼻緒が切れたら声をかける
作法は具体的です。鼻緒がきれたときには必ず声をかける。
鼻緒が切れれば、しゃがんで直します。 そのとき、地面に手を伸ばします。
声をかけないと、石を持って投げると思われ、犬に飛びつかれるといいます。
守り手に、敵意と誤解されないための作法です。
守ってもらう側にも、守るべき決まりがありました。
御犬様の伝承地域
公的データベースの地域欄は長野県南佐久郡南相木村を示します。話に出る三峰は、埼玉県秩父市の三峯神社です。
信仰が県境を越えて届いていたことが分かります。
南相木村周辺(みなみあいきむらしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
南相木村周辺の所在地:長野県南佐久郡南相木村
『伝承文芸』通巻19号の「世間話」の調査地域に対応します。
三峰は埼玉県秩父市の三峯神社を指します。
御犬様の正体と考えられているもの
御犬様は、記録では三峰のお犬様とされています。
三峯神社は、狼を眷属とする信仰で知られます。護符は各地に配られました。
この土地では、そのお犬様が夜道を守るとされました。
同時に、鼻緒が切れたときの作法が求められます。
守ってもらうことと、礼を欠かさないことが対になっています。
御犬様が記録された資料
御犬様を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『伝承文芸』の報告です。
三峯神社と狼信仰については、研究書や写真集が数多くあります。お犬様の護符を扱った本と併せて読むと、広がりが見えます。
御犬様が記録された民俗資料
世間話(伝承文芸 通巻19号)
国学院大学民俗文学研究会が1995年にまとめた報告です。
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御犬様についてよくある質問
御犬様とは何ですか。
三峯神社の眷属である狼を敬って呼ぶ名です。長野県南相木村では、夜道を守ってくれると語られました。
なぜ鼻緒が切れたら声をかけるのですか。
言わないと、石を持って投げると思われて飛びつかれると記録されています。
送り犬とは違うのですか。
送り犬や送り狼は転ぶと襲うとも語られます。この記録のお犬様は守る側です。
三峰とはどこですか。
埼玉県秩父市の三峯神社です。狼を眷属とする信仰で知られます。
御犬様と併せて覚えたい言葉・用語
三峯神社(みつみねじんじゃ)
埼玉県秩父市の神社。狼を眷属とする信仰で知られます。
眷属(けんぞく)
神に仕えるもの。三峯では狼がこれにあたります。
鼻緒(はなお)
草履や下駄の緒。切れたときに声をかける作法があります。
御犬様の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。