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長野県

阿闍梨池(あじゃりいけ)とはどんな妖怪か|姿と伝承

阿闍梨池  / アジャリイケ

蛇と竜 各地の伝説

長野市善光寺の池。龍神となった皇円阿闍梨が入り、遠州の桜ヶ池に通じるとされた。

阿闍梨池の姿を描いた図

Tomio344456 「善光寺の山門(長野県長野市長野元善町)」 2012年 / CC BY-SA 出典

阿闍梨池とはどんな妖怪か

阿闍梨池はひとことで言えば、龍になった僧が入った池です。長野県長野市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、杦嵜典子遠州の御櫃納神事」(『神道宗教』197号、2005年、93頁)を典拠に、次のように記します。

建久9(1198)年正月18日、皇円阿闍梨が弥勒菩薩の来迎を待つため龍神となって善光寺如来堂に来た。堂を7度巡り、傍らにあった沼(阿闍梨池)に入った

そして、池の性質が語られます。この沼は今は小さくなっているが、毎年如来印文の行事の後3日から17日の間、必ず満水になる。理由は、この池の水が遠州の桜ヶ池に通じていて、皇円阿闍梨がはるばる善光寺に参詣した証拠だといいます。

皇円阿闍梨は、法然の師として知られる平安末の僧です龍となって弥勒の世を待つという伝えが、静岡の桜ヶ池に残ります。

この記録は、その伝えを長野側から語ったものです。

阿闍梨池の漢字表記と読み方

読みは「あじゃりいけ」です。

阿闍梨」は、弟子を導く位の高い僧を指す語です。ここでは皇円阿闍梨その人を指します。

池の名に、僧の位がそのまま付いています。 龍となって入ったという伝えが、名に残りました。

阿闍梨池(あじゃりいけ)

日文研データベースが示す漢字表記。

アジャリイケ(あじゃりいけ)

同データベースの呼称読み。

阿闍梨池の姿と特徴

阿闍梨池は、です。

場所 … 善光寺如来堂の傍ら。
由来 … 龍神となった皇円阿闍梨が入った。
動き … 毎年、如来印文の行事の後、3日から17日の間に必ず満水になる。
説明 … 水が遠州の桜ヶ池に通じているため。

龍の姿が現れるという記録はありません。

池は今は小さくなっていると記録されています。

阿闍梨池の伝承記録

  1. 龍神となって堂を七度巡る
  2. 遠州の桜ヶ池に通じる水

龍神となって堂を七度巡る

記録は日付まで挙げます。建久9年(1198年)正月18日

皇円阿闍梨は、弥勒菩薩の来迎を待つため龍神となって善光寺如来堂に来ました

堂を七度巡り傍らの沼に入りました

弥勒菩薩は、遠い未来に現れて人々を救うとされる仏です。その時まで生きるために龍になった、という筋になります。

善光寺は、阿闍梨が参詣した先として語られています。

遠州の桜ヶ池に通じる水

この池には、毎年決まった時期に満水になるという性質が伝えられます

如来印文の行事の後、3日から17日の間です。

理由は、水が遠州の桜ヶ池に通じているからとされます。桜ヶ池は静岡県御前崎市の池で、皇円阿闍梨が龍となって入ったと伝わる場所です。

長野と静岡の池が、地の下でつながっている。 離れた二つの池を、一人の僧の伝説が結んでいます

記録の題「遠州の御櫃納神事」は、桜ヶ池で行われる神事の名です。

阿闍梨池の伝承地域

公的データベースの地域欄は長野県長野市長野元善町を示します。善光寺の所在地にあたります。

池は今は小さくなっていると記録されており、現在の様子は資料からは分かりません。

善光寺周辺(ぜんこうじしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

善光寺周辺の所在地:長野県長野市長野元善町

記録は善光寺如来堂の傍らの沼とします。

池は今は小さくなっていると記録されています。

阿闍梨池の正体と考えられているもの

阿闍梨池の由来は、記録では皇円阿闍梨が龍神となって入った池とされています。

皇円阿闍梨は法然の師として知られる平安末の僧です。弥勒の世を待つために龍になったという伝えは、静岡の桜ヶ池で広く語られてきました。

この記録は、その伝えの長野側です。 二つの池が水で通じているという説明が、参詣の証拠として語られています。

龍の姿を見たという記録はありません。 残るのは、満水になる時期という目に見える形です。

阿闍梨池が記録された資料

阿闍梨池を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『神道宗教』の論文です。

題の御櫃納神事は、静岡県の桜ヶ池で行われる神事です。皇円阿闍梨の龍神伝説を扱った本と併せて読むと、長野側の話の位置づけが分かります。

阿闍梨池が記録された民俗資料

遠州の御櫃納神事

杦嵜典子が『神道宗教』197号(2005年)に載せた中心資料です。

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阿闍梨池についてよくある質問

阿闍梨池とは何ですか。

長野市の善光寺にある沼です。龍神となった皇円阿闍梨が入ったと伝えられます。

なぜ満水になるのですか。

水が遠州の桜ヶ池に通じているためだと記録されています。如来印文の行事の後、3日から17日の間とされます。

皇円阿闍梨とは誰ですか。

法然の師として知られる平安末の僧です。弥勒菩薩の来迎を待つため龍になったと伝わります。

桜ヶ池はどこですか。

静岡県御前崎市の池です。皇円阿闍梨が龍となって入ったと伝えられ、御櫃納神事が行われます。

阿闍梨池と併せて覚えたい言葉・用語

皇円阿闍梨(こうえんあじゃり)

平安末の僧。法然の師とされ、龍となって弥勒を待つと伝わります。

桜ヶ池(さくらがいけ)

静岡県御前崎市の池。阿闍梨池と水が通じているとされます。

弥勒菩薩(みろくぼさつ)

遠い未来に現れて人々を救うとされる仏。その来迎を待つ話です。

阿闍梨池の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「阿闍梨池」