京都の祇園社あたりで、老婆が子の額に押した朱印。押さないと疫病を免れないとされた。

Morgan Calliope 「八坂神社の西楼門(京都府京都市東山区祇園町北側)」 2014年 / CC BY 2.0 出典
狗の子とはどんな妖怪か
狗の子はひとことで言えば、子を守る額の朱印です。京都市東山区の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、玉田永教『年中故事』(『続日本随筆大成別巻』12巻、1983年、303頁)を典拠に、京都の祇園社あたりに住む老婆は、子供の額に朱印を押す。これを狗の子や院の子というが、これをしないと疫病を免れる事ができないといい、またこれを押すと夜泣きをしないというと記します。
押すのは、老婆です。 町に住む人が担っていました。
二つの効き目が語られます。 疫病を免れることと、夜泣きをしないことです。
祇園社は、疫病除けの神をまつる社として知られます。その周辺での習わしです。
狗の子の漢字表記と読み方
読みは「いぬのこ」です。「いんのこ」とも呼ばれます。
犬は、お産が軽く、丈夫に育つとされてきました。その力にあやかる形です。
愛媛の記録では、夜に乳幼児を連れ出すとき「インノコ、インノコ」と唱えて額に墨をつけるとされます。同じ言葉が、京都では朱印になっています。
狗の子(いぬのこ)
日文研データベースが示す漢字表記。
院の子(いんのこ)
記録が併記する呼び方。
犬の子(いぬのこ)
同じ音に当てられる書き方。
狗の子の姿と特徴
この習わしに妖怪の姿はありません。記録にあるのは、印と効き目です。
押す人 … 祇園社あたりに住む老婆。
押す場所 … 子供の額。
印 … 朱印。
呼び名 … 狗の子、院の子。
効き目1 … 押さないと疫病を免れることができない。
効き目2 … 押すと夜泣きをしない。
印の形や文字は書かれていません。
狗の子の伝承記録
老婆が額に押す
押すのは祇園社あたりに住む老婆でした。
町に住む人が担っていました。
押される場所は、子供の額です。
朱印は、赤い印です。赤は、疫病除けの色とされてきました。
印の文字や形は記録されていません。
疫病と夜泣きに効く
効き目は二つ記録されています。
これをしないと疫病を免れることができない。押すことが前提になっています。
またこれを押すと夜泣きをしない。親にとって切実な悩みです。
祇園社は、疫病除けの神をまつる社として知られます。 祇園祭も、疫病を鎮める祭りに始まります。
その周辺で、子を守る印が押されていました。
狗の子の伝承地域
記録は京都の祇園社あたりと記します。祇園社は現在の八坂神社にあたります。
押していた老婆の家は書かれていないため、地図で指せるのは地域の範囲までです。
祇園社周辺(ぎおんしゃしゅうへん)
記録が示す地域
祇園社周辺の所在地:京都府京都市東山区
記録は「京都の祇園社あたり」と記します。祇園社は現在の八坂神社です。
老婆の家や印の所在は資料に書かれていません。
狗の子の正体と考えられているもの
この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、子を守るための印です。
犬にあやかるという考え方は各地にあります。栃木の犬供養も、犬のお産の軽さから始まっていました。
「インノコ」という言葉は、愛媛では墨、京都では朱印という形で使われています。
同じ言葉が、土地ごとに違う形をとりました。
残ったのは、額に押された赤い印です。
狗の子が登場する作品
狗の子を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『年中故事』です。
続日本随筆大成に収められています。祇園社(八坂神社)と疫病除けについては、祭りを扱った本が数多くあります。
狗の子が登場する古典籍
年中故事
玉田永教による書。狗の子の記録を載せています。
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狗の子についてよくある質問
狗の子とは何ですか。
京都の祇園社あたりで、老婆が子供の額に押した朱印です。院の子とも呼ばれました。
どんな効き目があるのですか。
押さないと疫病を免れることができないといい、押すと夜泣きをしないと記録されています。
誰が押すのですか。
祇園社あたりに住む老婆です。町の人が担っていました。
ほかの土地にもありますか。
愛媛では、夜に乳幼児を連れ出すとき「インノコ」と唱えて額に墨をつけると記録されています。
狗の子と併せて覚えたい言葉・用語
祇園社(ぎおんしゃ)
現在の八坂神社。疫病除けの神をまつります。
朱印(しゅいん)
赤い印。赤は疫病除けの色とされました。
インノコ(いんのこ)
犬の子を意味する言葉。愛媛では唱えごとに使われます。
狗の子の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。