神奈川県横須賀市の走水で、荒波を立てて船を回したという神。弟橘比売命の身投げで波は鎮まった。

Aimaimyi 「走水神社の拝殿(神奈川県横須賀市走水)」 2011年 / CC BY-SA 3.0 出典
渡の神とはどんな妖怪か
渡の神は、船を通さない海の神です。神奈川県横須賀市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、丸山角治「船咎めの神-人間に祭りを覔める神々の啓示-」(『旅と伝説』三元社、1940年)を典拠に、引用文献を『古事記』として、走水の海を渡ろうとすると、渡の神が荒波を立てて船を回すので、倭建命は先に進めずに困っていた。すると、妃の弟橘比売命が、自ら犠牲となって海に身投げし、神を和めた。波は次第に鎮まり、船は先へと進むことができたと記します。
神の姿は出てきません。
現れたのは荒波という形でした。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
渡の神の漢字表記と読み方
読みは「わたりのかみ」です。
「走水」は、横須賀市の東京湾に面した地の名です。
「船を回す」は、船が進めず向きを変えられることです。
「和める」は、神の怒りをしずめることです。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
渡の神(わたりのかみ)
日文研データベースが示す呼称。
船咎めの神(ふなとがめのかみ)
論文名が用いる、船を通さない神の総称です。
渡の神の姿と特徴
渡の神の話は、記録に順を追って書かれています。
渡ろうとした海 … 走水の海。
現れたもの … 渡の神。
したこと(一) … 荒波を立てた。
したこと(二) … 船を回した。
困った人 … 倭建命。
進み出た人 … 妃の弟橘比売命。
したこと … 自ら犠牲となって海に身投げした。
その結果(一) … 神を和めた。
その結果(二) … 波は次第に鎮まった。
その結果(三) … 船は先へと進むことができた。
渡の神の姿は書かれていません。
渡の神の伝承記録
走水の海
走水の海を渡ろうとすると、渡の神が荒波を立てて船を回しました。
立ったのは荒波です。
倭建命が困る
倭建命は先に進めずに困っていました。
止められたのは船です。
弟橘比売命の身投げ
すると、妃の弟橘比売命が、自ら犠牲となって海に身投げし、神を和めました。
差し出されたのはわが身です。
波が鎮まる
波は次第に鎮まり、船は先へと進むことができました。
開いたのは海の道です。
渡の神の伝承地域
公的データベースの地域欄は神奈川県、市郡名の欄は横須賀市を示します。
論文名は船咎めの神で、船を通さない神々を集めた報告です。
渡の神の正体と考えられているもの
渡の神は、船を通さない海の神です。
姿は出てきません。 語られているのは、何が船を止めたかと、何によって鎮まったかです。
論文が人間に祭りを覔める神々という副題を掲げていることが、この神の位置づけを示しています。
この図鑑には船幽霊(各地)も収めています。
渡の神が登場する作品
渡の神を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の伝説雑誌です。
船を通さない神の話は各地の海や川にあり、供え物をして通してもらう習わしを生みました。
渡の神が登場する雑誌
旅と伝説
三元社が出した伝説の雑誌です。1940年の号に船咎めの神が載ります。
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渡の神についてよくある質問
渡の神とは何ですか。
神奈川県横須賀市の走水で、荒波を立てて船を止めたとされる神です。
誰が困ったのですか。
倭建命が先に進めずに困っていたといいます。
どう鎮まったのですか。
妃の弟橘比売命が自ら海に身投げし、神を和めました。
典拠は何ですか。
データベースは引用文献に『古事記』を挙げています。
渡の神と併せて覚えたい言葉・用語
走水(はしりみず)
横須賀市の東京湾に面した地の名です。
倭建命(やまとたけるのみこと)
『古事記』が伝える皇子の名です。
弟橘比売命(おとたちばなひめのみこと)
倭建命の妃と伝えられる人です。
渡の神の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。