石川県白山市の話。片目になった落人が、死んだら片目の蛇になると言い残した。

Saigen Jiro 「白山比咩神社の神門(石川県白山市)」 2012年 / パブリックドメイン 出典
片目の蛇とはどんな妖怪か
片目の蛇は、落人の生まれ変わりです。石川県白山市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、中央大学民俗研究会「石川県石川郡鳥越村 調査報告書」(『常民』中央大学民俗研究会、1986年)を典拠に、話者を森下ほか子として、落人の治武殿は雪合戦のとき石が目にあたって片目になった。それで村の名前が左礫になったと記します。
言い残しがあります。
「俺が死んだら蛇道に落ちる、片目の蛇になる。蛇に両目がついたら成仏したということだ」と言い残して死んだと続き、昔は左礫には片目の蛇が一杯いたが、いまは両目の蛇ばかりになったと結ばれます。
この図鑑にはあまめはぎ(石川)も収めています。
片目の蛇の漢字表記と読み方
読みは「かためのへび」です。
「落人」は、戦に敗れて逃げのびた人のことです。
「蛇道」は、蛇に生まれ変わる道のことです。
「成仏」は、迷いを離れて仏になることです。
この図鑑にはあまめはぎ(石川)も収めています。
片目の蛇(かためのへび)
日文研データベースが示す呼称です。
左礫(ひだりつぶて)
記録が示す村の名です。石が目にあたったことに由来すると記されます。
蛇道(じゃどう)
記録が示す語です。蛇に生まれ変わる道をいいます。
片目の蛇の姿と特徴
片目の蛇の話は、記録に順を追って書かれています。
その人 … 落人の治武殿。
起きたこと … 雪合戦のとき石が目にあたって片目になった。
そこから来たもの … 村の名前が左礫になった。
埋めたもの … 大判小判。
言い残したこと(一) … 俺が死んだら蛇道に落ちる、片目の蛇になる。
言い残したこと(二) … 蛇に両目がついたら成仏したということだ。
昔の左礫 … 片目の蛇が一杯いた。
今の左礫 … 両目の蛇ばかりになった。
片目の蛇の伝承記録
落人の治武殿
落人の治武殿がいました。
来たのは戦を逃れてです。
雪合戦の石
雪合戦のとき石が目にあたって片目になりました。
当たったのは雪ではなく石です。
左礫という村
それで村の名前が左礫になりました。
残ったのは地名です。
蛇道に落ちる
「俺が死んだら蛇道に落ちる、片目の蛇になる」と言い残しました。
告げたのは死ぬ前です。
両目になれば
「蛇に両目がついたら成仏したということだ」と言い残して死にました。
約束したのはしるしです。
今は両目ばかり
昔は片目の蛇が一杯いましたが、いまは両目の蛇ばかりになりました。
変わったのは蛇の目です。
片目の蛇の伝承地域
公的データベースの地域欄は石川県、区町村名の欄は広瀬町を示します。
市郡名の欄は白川市と記されていますが、報告の題は石川県石川郡鳥越村で、今の白山市にあたります。
左礫(ひだりつぶて)
記録が示す場所
左礫の所在地:石川県白山市
データベースの市郡名の欄は「白川市」と記しますが、報告の題は石川郡鳥越村で、今の白山市にあたります。
手取川の上流にあたる山あいの土地です。
片目の蛇の正体と考えられているもの
片目の蛇は、落人の生まれ変わりです。
怪しいものが出る話ではありません。 語られているのは、片目になった経緯と、蛇の目を成仏のしるしとしたことです。
地名の由来と生まれ変わりを一つにつないだ、土地の記憶の語り方です。
この図鑑にはあまめはぎ(石川)も収めています。
片目の蛇が登場する作品
この話を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは大学の民俗研究会が出した調査報告です。
死んで蛇になるという言い残しは各地にあり、多くは執着を残した人の話として語られます。
片目の蛇が登場する雑誌
常民
中央大学民俗研究会が出した雑誌です。1986年の22号に鳥越村の調査報告が載ります。
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片目の蛇についてよくある質問
片目の蛇とは何ですか。
石川県白山市に伝わる、片目になった落人の生まれ変わりだという蛇です。
なぜ片目なのですか。
落人の治武殿が雪合戦のとき石で片目になったためだといいます。
両目の蛇は何を意味しますか。
治武殿が成仏したしるしだと言い残したと記されています。
どこで語られていますか。
石川県白山市の左礫です。報告の題は石川郡鳥越村です。
片目の蛇と併せて覚えたい言葉・用語
落人(おちうど)
戦に敗れて逃げのびた人のことです。
蛇道(じゃどう)
蛇に生まれ変わる道のことです。
鳥越村(とりごえむら)
石川県石川郡にあった村で、今の白山市の一部です。
片目の蛇の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。