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石川県

池中の鞍(いけなかのくら)とはどんな妖怪か|姿と伝承

池中の鞍  / イケナカノクラ

そのほか 各地の伝説

石川県金沢市の池。滅ぼされた富樫政親が馬ごと沈み、晴れた日に池底の鞍が見えるという。

池中の鞍の姿を描いた図

くろふね 「ひがし茶屋街(石川県金沢市東山)」 2015年 / CC BY-SA 出典

池中の鞍とはどんな妖怪か

池中の鞍はひとことで言えば、沈んだ武将の鞍です。石川県金沢市の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、京都下鴨村金澤生池中の鞍」(『郷土研究』1巻2号、1913年、53頁)を典拠に、次のように記します。

長享2年6月8日、倉嶽村にある富樫政親の城を一向宗の僧徒が攻め、政親を滅ぼした。政親は馬諸共池に沈み、今でも晴れた日には池の底の鞍が見えるという。6月8日に限っては鞍が水面に浮き出るといわれている

富樫政親は、加賀の守護です長享2年(1488年)、一向一揆に攻められて滅びました。 加賀が「百姓の持ちたる国」となる出来事として、歴史に残ります。

池に沈んだ鞍が、晴れた日に見える。 そして、命日にあたる6月8日には浮き出るといいます。

池中の鞍の漢字表記と読み方

読みは「いけなかのくら」です。

は、馬に乗るための道具です武将の持ち物のなかでも、身分を示すものでした。

沈んだのは人と馬ですが、見えるのは鞍だけです残された道具が、出来事を語ります。

池中の鞍(いけなかのくら)

日文研データベースが示す漢字表記。

イケナカノクラ(いけなかのくら)

同データベースの呼称読み。

池中の鞍の姿と特徴

この話に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、池と鞍です。

場所 … 倉嶽村の池。
沈んだもの … 富樫政親と馬。
見えるとき1 … 晴れた日、池の底に鞍が見える。
見えるとき2 … 6月8日に限っては、鞍が水面に浮き出る。

霊が現れる、声がするという記述はありません。

見えるのは、鞍だけです。

池中の鞍の伝承記録

  1. 長享二年六月八日
  2. 命日には、鞍が浮き出る

長享二年六月八日

日付がはっきりしています。長享2年6月8日(1488年)

一向宗の僧徒が、倉嶽村にある富樫政親の城を攻めました

政親は滅び、馬もろとも池に沈みました。

これは加賀一向一揆として知られる出来事です守護が倒され、加賀は一向宗門徒の手に渡りました。

歴史の転換点が、池の話として土地に残っています。

命日には、鞍が浮き出る

池には、晴れた日に底の鞍が見えるといいます。

さらに、6月8日に限っては鞍が水面に浮き出る

その日は、政親が滅びた日です。

年に一度、決まった日にだけ現れるという形は各地にあります。山口の虚空太鼓は旧六月に鳴り、兵庫のオバメは夏の夜に出ました。

池中の鞍では、それが命日に重なっています。

池中の鞍の伝承地域

記録は倉嶽村と記します。公的データベースの地域欄は石川県金沢市です。

池の位置は書かれていないため、地図で指せるのは市の範囲までです。

倉嶽周辺(くらたけしゅうへん)

記録が示す地名

地図で開く

倉嶽周辺の所在地:石川県金沢市

記録は「倉嶽村にある富樫政親の城」と記します。金沢市に高尾城跡が伝わります。

池の位置は資料に書かれていません。

池中の鞍の正体と考えられているもの

この話に妖怪は出てきません。語られているのは、滅んだ武将の名残です。

池に沈んだ鞍が見える——実際に何かが沈んでいたのかは分かりません。

歴史の出来事が、池の底の景として残りました。 福井の乱れ橋の幽霊は朝倉義景の妄念、この話は富樫政親の鞍。滅んだ側の記憶が、土地に留まっています。

残ったのは、日付と、水面に浮くという言い伝えです。

池中の鞍が記録された資料

池中の鞍を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『郷土研究』の記事です。

加賀一向一揆富樫政親については、歴史の本が数多くあります。高尾城跡を扱った資料と併せて読むと、話の背景が見えてきます。

池中の鞍が記録された民俗資料

池中の鞍

『郷土研究』1巻2号(1913年)に載った中心資料です。

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池中の鞍についてよくある質問

池中の鞍とは何ですか。

石川県金沢市の池に伝わる話です。滅ぼされた富樫政親が馬ごと沈み、晴れた日に池底の鞍が見えるといわれました。

6月8日には何が起きるのですか。

その日に限って、鞍が水面に浮き出ると記録されています。政親が滅びた日にあたります。

富樫政親とは誰ですか。

加賀の守護です。長享2年(1488年)、一向一揆に攻められて滅びました。

池は今もありますか。

資料に位置の記載はありません。記録は倉嶽村と記すだけです。

池中の鞍と併せて覚えたい言葉・用語

富樫政親(とがしまさちか)

加賀の守護。長享2年に一向一揆に攻められて滅びました。

加賀一向一揆(かがいっこういっき)

一向宗門徒による蜂起。守護を倒し、加賀を長く支配しました。

(くら)

馬に乗るための道具。池の底に見えるとされます。

池中の鞍の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「池中の鞍」