茨城県稲敷市で、小雨の夕方に出て「乗ったか」と声をかけてくるという車。

火の車とはどんな妖怪か
火の車はひとことで言えば、返事をするまで離れない車です。茨城県稲敷市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、内田清司「新利根むかしばなし」(『茨城の民俗』通巻28号、1989年、122頁)を典拠に、小雨が降る夕方に火の車が出る。人が近づくと「乗ったか」と声をかけるが、返事をするまで決して離れようとしない。「乗ったァ」と答えると、走り去って行くと言うと記します。
逃げ方が決まっています。
返事をすれば去ります。 黙っていると離れません。 これがこの記録の要です。
火の車の漢字表記と読み方
読みは「ひのくるま」です。
火の車は、もとは地獄で罪人を運ぶ車を指す仏教の言葉です。 家計の苦しさをいう言い方にもなりました。
この記録の火の車は、声をかけてくるところが変わっています。
この図鑑には片輪車(各地)も収めています。そちらも車の妖怪です。
火の車(ひのくるま)
日文研データベースが示す呼称。
乗ったか(のったか)
車がかけてくるとされる声です。
火の車の姿と特徴
火の車の姿は、記録に短く書かれています。
出る天気 … 小雨。
出る時刻 … 夕方。
声をかける相手 … 近づいた人。
かける言葉 … 「乗ったか」。
しつこさ … 返事をするまで決して離れない。
去る条件 … 「乗ったァ」と答えること。
車の形や大きさは書かれていません。
火の車の伝承記録
小雨の夕方に出る
小雨が降る夕方に、火の車が出ます。
天気と時刻が決まっています。 晴れた日とは書かれていません。
乗ったかと聞く
人が近づくと「乗ったか」と声をかけます。
返事をするまで、決して離れようとしません。
追いかけるのではなく、返事を待ちます。
答えると走り去る
「乗ったァ」と答えると、走り去って行くといいます。
害を受けたとは書かれていません。
必要なのはひとことだけでした。
火の車の伝承地域
公的データベースの地域欄は茨城県稲敷市を示します。
稲敷市は利根川と霞ヶ浦にはさまれた低地にあたります。
火の車の正体と考えられているもの
火の車は、返事を求めるものです。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、離れないということと、去る条件だけです。
それでも、答え方まで決まっています。
この図鑑には片輪車(各地)も収めています。
火の車が登場する作品
火の車を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは学会誌です。
声をかけてくる怪の話は各地にあり、返事の仕方が語りの芯になります。この図鑑には片輪車(各地)も収めています。
火の車が登場する学会誌
茨城の民俗
茨城民俗学の会の学会誌です。1989年の号に内田清司の報告が載ります。
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火の車についてよくある質問
火の車とは何ですか。
茨城県稲敷市で、小雨の夕方に出るとされた車です。
何と言ってきますか。
「乗ったか」と声をかけてくると記録されています。
どうすれば去りますか。
「乗ったァ」と答えると走り去るとされます。
黙っているとどうなりますか。
返事をするまで決して離れようとしないと記されています。
火の車と併せて覚えたい言葉・用語
火の車(ひのくるま)
もとは地獄で罪人を運ぶ車を指す仏教の言葉です。
稲敷市(いなしきし)
茨城県南部の市。旧新利根町を含みます。
新利根(しんとね)
稲敷市の旧町名。報告の題に使われています。
火の車の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。