広島県呉市蒲刈町で、夜の浜に現れ、背負って帰れと言って背に乗ったという大きな坊主。

一ツ目坊主とはどんな妖怪か
一ツ目坊主はひとことで言えば、言い置いて帰った坊主です。広島県呉市蒲刈町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、原田三代治「上蒲刈島宮盛の民俗(3)」(『広島民俗』通巻18号、1982年、27頁)を典拠に、昔、あるおじいさんがモセを取るために夜2,3時頃に段原の人焼場の川筋の浜にいたら大きい一つ目坊主が現れ背負って帰れといいながら背中に乗ってきた。仕方なく峠の所まで帰ったらここで降ろせといい、夜はお前たちの世ではないといって帰ったと記します。
危害を加えずに、言葉を残しています。
この記録の芯は、夜はお前たちの世ではないという一言です。
一ツ目坊主の漢字表記と読み方
読みは「ひとつめぼうず」です。
モセは海藻や刈り草を指す土地の言い方です。 夜中に取りに出ています。
出た場所は人焼場の川筋の浜で、火葬の場に近い浜でした。
この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。そちらは子どもの姿です。
一ツ目坊主(ひとつめぼうず)
日文研データベースが示す呼称。
一つ目坊主(ひとつめぼうず)
要約の本文ではこの表記が使われます。
一ツ目坊主の姿と特徴
一ツ目坊主の姿は、記録に短く書かれています。
目 … 一つ。
大きさ … 大きい。
出た時刻 … 夜二、三時頃。
出た場所 … 段原の人焼場の川筋の浜。
したこと … 背負って帰れと言って背中に乗る。
降りた場所 … 峠。
顔立ちや着物については書かれていません。
一ツ目坊主の伝承記録
夜中の浜
昔、あるおじいさんがモセを取るために、夜2,3時頃に段原の人焼場の川筋の浜にいました。
火葬の場に近い浜で、夜中の仕事をしていました。
背中に乗ってくる
大きい一つ目坊主が現れ、背負って帰れといいながら背中に乗ってきました。
断ってはいません。 仕方なく背負っています。
逃げる話ではなく、運ぶ話になっています。
峠で降りて言い置く
峠の所まで帰ったら、ここで降ろせといいました。
そして、夜はお前たちの世ではないといって帰りました。
害はありません。 残ったのは言葉だけです。
一ツ目坊主の伝承地域
公的データベースの地域欄は広島県呉市蒲刈町を示します。
蒲刈町は瀬戸内海の上蒲刈島にあたります。
一ツ目坊主の正体と考えられているもの
一ツ目坊主は、夜の境を告げたものです。
祟りという語は使われていません。 記されているのは、乗って、降りて、言い置いたという順序だけです。
それでも、言葉が残りました。
この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。
一ツ目坊主が登場する作品
一ツ目坊主を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは学会誌です。
背負わされる話は各地にあり、降ろした場所が語りの区切りになります。この図鑑には一つ目小僧(各地)も収めています。
一ツ目坊主が登場する学会誌
広島民俗
広島民俗学会の学会誌です。1982年の号に原田三代治の報告が載ります。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
一ツ目坊主についてよくある質問
一ツ目坊主とは何ですか。
広島県呉市蒲刈町の夜の浜に現れたとされる、目が一つの大きな坊主です。
何をしましたか。
背負って帰れと言って背中に乗り、峠で降りたと記録されています。
害はありましたか。
害を加えたとは書かれていません。
最後に何と言いましたか。
夜はお前たちの世ではない、と言って帰ったと記録されています。
一ツ目坊主と併せて覚えたい言葉・用語
モセ(もせ)
海藻や刈り草を指す土地の言い方です。
人焼場(ひとやきば)
火葬を行った場所のことです。
上蒲刈島(かみかまがりじま)
広島県呉市の瀬戸内海に浮かぶ島です。
一ツ目坊主の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。