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千葉県

おな乞食(おなこじき)とはどんな妖怪か|姿と伝承

おな乞食  / オナコジキ

幽霊と霊 各地の伝説

千葉県睦沢町で人柱にされた乞食。埋めた場所から生えた梅の実は果肉が欠けていた。

おな乞食の姿を描いた図

小石川人晃 「道の駅むつざわ 集いの郷(千葉県睦沢町)」 2023年 / CC BY-SA 出典

おな乞食とはどんな妖怪か

おな乞食はひとことで言えば、食べかけの梅を残した人柱です。千葉県長生郡睦沢町の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、藤澤衛彦梅品の多趣と其概念と名所伝説」(『旅と伝説』2号、1928年、42頁)を典拠に、堰の堤がしばしば決壊するので、人柱をたてることになった。村人が堤で生梅を食べるおな乞食を見つけ、それを捕らえて人柱として埋めた。以来、堤が決壊することはなかった。そこから生えた梅の木の実は果肉が削げ落ちていて、食いかけの梅と言われたと記します。

「人柱」は堤や橋を守るために人を生き埋めにする習わしです

選ばれたのは、たまたま通りかかった者でした。

そして、食べかけの梅が木になりました

おな乞食の漢字表記と読み方

読みは「おなこじき」です。

「おな」の意味は記録されていません。

この図鑑には、山梨のオナン淵も収めています。 そちらの「オナン」は下女の名です。

「人柱」の話は各地にあり、堤・橋・城にまつわるものが知られます。

おな乞食(おなこじき)

日文研データベースが示す表記。

食いかけの梅(くいかけのうめ)

生えた梅の実の呼び名。

おな乞食の姿と特徴

この記録に妖怪の姿はありません。あるのは、出来事と、残った木です。

きっかけ … 堰の堤がしばしば決壊した。
決めたこと … 人柱をたてる。
選ばれた人 … 堤で生梅を食べていたおな乞食。
したこと … 捕らえて人柱として埋めた。
その後1 … 堤が決壊することはなくなった。
その後2 … そこから生えた梅の実は果肉が削げ落ちていた。

霊が現れたという記述はありません。

おな乞食の伝承記録

  1. 生梅を食べていた
  2. 食いかけの梅

生梅を食べていた

堰の堤が、しばしば決壊しました

そこで、人柱をたてることになりました。

村人が探すと、堤で生梅を食べるおな乞食がいました。

それを捕らえて、人柱として埋めました

選ばれた理由は、そこにいたことだけです。

食いかけの梅

以来、堤が決壊することはありませんでした。

そして、そこから梅の木が生えました

その実は、果肉が削げ落ちていました。

人々は「食いかけの梅」と呼びました。

埋められたときに食べていた梅が、木になって形を残したという語りです。

おな乞食の伝承地域

公的データベースの地域欄は千葉県長生郡睦沢町を示します。

堤や梅の木の位置は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。

睦沢町(むつざわまち)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

睦沢町の所在地:千葉県長生郡睦沢町

記録は堰の堤と記します。

梅の木の現在は資料に書かれていません。

おな乞食の正体と考えられているもの

この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、人柱にされた者の跡です。

祟ったとは書かれていません。

残ったのは、果肉の欠けた梅の実です。

恨みではなく、食べかけという形で記憶されています。

藤澤衛彦の記事は、梅を主題にした連載の一部です。

おな乞食が記録された資料

おな乞食を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。

題のとおり、梅にまつわる伝説を集めた記事で、各地の梅の話が並びます。人柱の話をまとめた本と併せて読むと、この話の位置が見えてきます。

おな乞食が記録された民俗資料

梅品の多趣と其概念と名所伝説

藤澤衛彦が『旅と伝説』2号(1928年)に載せた中心資料です。

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おな乞食についてよくある質問

おな乞食とは何ですか。

千葉県睦沢町で、堤の人柱にされたとされる乞食です。

なぜ選ばれたのですか。

堤で生梅を食べていたところを村人に見つけられ、捕らえられたと記録されています。

食いかけの梅とは何ですか。

埋めた場所から生えた梅の実で、果肉が削げ落ちていたとされます。

堤はどうなりましたか。

以来、決壊することはなかったと記録されています。

おな乞食と併せて覚えたい言葉・用語

人柱(ひとばしら)

堤や橋を守るために人を生き埋めにする習わしです。

(せき)

水をせき止める仕掛け。その堤が決壊しました。

藤澤衛彦(ふじさわもりひこ)

伝説の研究者。この記事の筆者です。

おな乞食の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「おな乞食,人柱,梅」