愛知県北設楽郡で、親に死水をやらなかった祟りで水が飲めなくなったという真紅の鳥。

Asturio Cantabrio 「道の駅したら(愛知県北設楽郡設楽町)」 2022年 / CC BY-SA 4.0 出典
水恋鳥とはどんな妖怪か
水恋鳥は、水を飲めない鳥です。愛知県北設楽郡の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、佐々木弘之「やまがの説話―水恋鳥―」(『旅と伝説新年号』三元社、1929年)を典拠に、秋の夕方になると、黒川に羽毛の真紅な鳥がよく飛んで来て、哀調を帯びた澄んだ声で鳴いている。昔この鳥は親に死水をやらなかった祟りで自分でも水が飲めないようになった。水を飲もうにも自分の真紅な姿が水に映るのが恐ろしくて近寄れず、千口も鳴いてやっと一滴の水が飲めるそうだと記します。
理由が二重になっています。
祟りで飲めなくなったうえ、自分の姿が水に映るのが恐ろしくて近寄れないのです。
水恋鳥の漢字表記と読み方
読みは「みずこいどり」です。
「死水をやる」は、死に際の人の口を水で潤すことです。
「哀調」は、悲しげな調子のことです。
「千口」は、千度鳴くという意味に読めます。
水恋鳥(みずこいどり)
日文研データベースが示す呼称。
死水の鳥(しにみずのとり)
話の元から付けられる言い方です。
水恋鳥の姿と特徴
水恋鳥の姿は、記録にはっきり書かれています。
いつ来るか … 秋の夕方。
どこへ … 黒川。
その羽毛 … 真紅。
その声 … 哀調を帯びた澄んだ声。
飲めない理由(一) … 親に死水をやらなかった祟り。
飲めない理由(二) … 自分の真紅な姿が水に映るのが恐ろしくて近寄れない。
やっと飲めるとき … 千口も鳴いてから一滴。
鳥の大きさは書かれていません。
水恋鳥の伝承記録
秋の夕方に来る
秋の夕方になると、黒川に羽毛の真紅な鳥がよく飛んで来ます。
季節と時刻が決まっています。
哀調の声
哀調を帯びた澄んだ声で鳴いています。
声が話の入口です。
死水の祟り
昔この鳥は親に死水をやらなかった祟りで自分でも水が飲めないようになりました。
罰は同じかたちで返っています。
千口鳴いて一滴
自分の真紅な姿が水に映るのが恐ろしくて近寄れず、千口も鳴いてやっと一滴の水が飲めるそうです。
声は渇きから出ていました。
水恋鳥の伝承地域
公的データベースの地域欄は愛知県北設楽郡を示します。
論文名のやまがは、山あいの村を指す言い方です。
水恋鳥の正体と考えられているもの
水恋鳥は、親不孝の罰を負ったとされる鳥です。
人に害をなしてはいません。 語られているのは、なぜ飲めないかと、どれほど飲めないかです。
声を聞いた人が、その理由を語るという形をとっています。
この図鑑には姥ヶ火(各地)も収めています。
水恋鳥が登場する作品
水恋鳥を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の伝説雑誌です。
鳥の鳴き声に由来を付ける話は各地にあり、親不孝の罰として語られる形が多くあります。
水恋鳥が登場する雑誌
旅と伝説
三元社が出した伝説の雑誌です。1929年の新年号にやまがの説話―水恋鳥―が載ります。
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水恋鳥についてよくある質問
水恋鳥とは何ですか。
愛知県北設楽郡で、水が飲めなくなったと語られる真紅の鳥です。
なぜ飲めないのですか。
親に死水をやらなかった祟りといいます。
ほかに理由はありますか。
自分の真紅な姿が水に映るのが恐ろしくて近寄れないともいいます。
どれくらい飲めるのですか。
千口も鳴いてやっと一滴の水が飲めるそうです。
水恋鳥と併せて覚えたい言葉・用語
死水(しにみず)
死に際の人の口を潤す水のことです。
哀調(あいちょう)
悲しげな調子のことです。
北設楽(きたしたら)
愛知県の奥三河にあたる郡の名です。
水恋鳥の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。