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和歌山県

道成寺鐘(どうじょうじのかね)とはどんな妖怪か|姿と伝承

道成寺鐘  / ドウジョウジノカネ

蛇と竜 鳥山石燕の絵

蛇に変じた女が鐘に巻きつき、中の僧を焼き殺したという和歌山の寺の鐘。

道成寺鐘の姿を描いた図

鳥山石燕 「今昔百鬼拾遺 道成寺鐘」 1781年 / パブリックドメイン 出典

道成寺鐘とはどんな妖怪か

道成寺鐘はひとことで言えば、女が蛇になって巻きついた鐘です。和歌山県日高川町の寺の話です。

安珍・清姫伝説は、主人公らの悲恋と情念をテーマとした、紀伊国(和歌山県)道成寺ゆかりの伝説です。

この男女は因縁のまま輪廻転生するが、道成寺の住持の読経の供養により成仏するという仏教説話でもあります。

原型とされる平安時代の『大日本国法華験記』『今昔物語集』所収の説話には、熊野参詣の僧と、宿の寡婦とだけ記され、名は言及されていません

安珍の僧名は『元亨釈書』(1322年)が初出清姫の名は1742年初演の浄瑠璃に初めて見えます

道成寺鐘の漢字表記と読み方

読みは「どうじょうじのかね」です。

寺の名は道成寺——和歌山県最古の寺とされます。

清姫の名は1742年初演の浄瑠璃に初めて見えますそれ以前の話では、二人とも名がありません。

能では謡曲『道成寺』、歌舞伎では『娘道成寺』として演じられます。

道成寺鐘(どうじょうじのかね)

石燕の絵に添えられた表記。

安珍・清姫伝説(あんちんきよひめでんせつ)

この話全体を指す呼び名。

日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)

人形浄瑠璃での外題。

道成寺鐘の姿と特徴

石燕の絵の道成寺鐘は、鐘に巻きつく蛇身の女です。

上半身 … 長い髪を振り乱した女。
… 大きく開いている。
下半身 … 鱗の並ぶ蛇身。
巻きつく先 … 撞かれた鐘。
添え書き … 紀州日高郡矢田庄、道成寺の名が読めます。

炎は描かれていません。 巻きつくところまでが描かれています。

道成寺鐘が登場する古典の物語

  1. 奥州の僧と真砂の娘
  2. 日高川を渡る
  3. 鐘ごと焼き殺す
  4. 絵解きで語り継ぐ

奥州の僧と真砂の娘

奥州白河(現在の福島県白河市)から安珍という僧(山伏)が熊野に参詣に来ました。

この僧は大変な美形でした。

紀伊国牟婁郡(現在の和歌山県田辺市中辺路、熊野街道沿い)真砂の庄司の娘・清姫は、宿を借りた安珍を見て思いを寄せます。

安珍は、参詣の帰りに立ち寄ると約束して発ちました。

しかし、帰りは別の道を通ります

日高川を渡る

裏切られたと知った清姫は、安珍を追いました

行く手には日高川があります。

船頭は、僧に頼まれて渡しませんでした。

清姫は、蛇に変化して川を渡ります

この場面が、人形浄瑠璃『日高川入相花王』の見せ場になりました。

鐘ごと焼き殺す

安珍は道成寺に逃げ込み、鐘の中にかくまわれます

追いついた清姫は、鐘に巻きつきました

そして、鐘ごと安珍を焼き殺します。

石燕が描いたのは、この巻きつく場面です。

話はここで終わりません。 二人は因縁のまま輪廻転生し、道成寺の住持の読経の供養により成仏します。

絵解きで語り継ぐ

道成寺では、絵巻物を見せながら絵解き説法をおこなっています。

昭和の時代に文言を多少アレンジして作成された「千年祭本」、および書写は新しいが古形にちかい「道成寺縁起絵とき手文」が台本としてあります。

ただし実践においては台本通りではなく、たとえば清姫が年齢13歳であるという記述は口にされません

江戸時代には、絵解きの影響でこの伝説が「略縁起」の形で刊行され、数多く頒布されました。

道成寺鐘の伝承地域

舞台は道成寺(和歌山県日高郡日高川町鐘巻1738)です。和歌山県最古の寺とされます。

絵巻物を見せながらの絵解き説法で知られ、この伝説を寺で聞くことができます。清姫が渡った日高川も、寺のそばを流れています。

道成寺(どうじょうじ)

伝説の舞台となる寺

地図で開く

道成寺の所在地:和歌山県日高郡日高川町鐘巻1738

和歌山県最古の寺とされます。絵巻物による絵解き説法で知られます。

拝観の時間は寺の案内をご確認ください。

道成寺鐘の正体と考えられているもの

道成寺鐘は、焼かれた鐘そのものが主役です

石燕は、妖怪の一枚として鐘を立てました 巻きついた女ではなく、鐘の名で項目になっています。

原型の説話では、熊野参詣の僧と、宿の寡婦とだけ記されていました。

名がついたのは後のことです安珍は1322年の『元亨釈書』、清姫は1742年の浄瑠璃が初出です。

道成寺鐘が登場する作品

この話は、能・歌舞伎・浄瑠璃で今も演じられています。

寺では絵解き説法が続いており、絵巻を見ながら聞くことができます江戸時代には「略縁起」として刊行され、数多く頒布されました。

道成寺鐘が登場する古典

今昔百鬼拾遺

鳥山石燕、1781年。鐘に巻きつく蛇身の女を描いています。

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今昔物語集

平安期の説話集。名のない僧と寡婦の話として原型を載せます。

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道成寺縁起

室町時代の絵巻(重要文化財)。ここでも主人公らは無名です。

道成寺鐘が登場する能・浄瑠璃・歌舞伎

道成寺

謡曲。鐘供養の場に女が現れます。

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娘道成寺

歌舞伎舞踊。「道成寺物」と総称される作品群の代表です。

日高川入相花王

人形浄瑠璃。川を渡る場面が見せ場です。

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道成寺鐘についてよくある質問

道成寺鐘とは何ですか。

蛇に変じた清姫が巻きつき、中にかくまわれた安珍を鐘ごと焼き殺したという和歌山の寺の鐘です。

安珍と清姫の名はいつからありますか。

安珍は1322年の『元亨釈書』、清姫は1742年初演の浄瑠璃が初出です。

寺は今もありますか。

あります。和歌山県日高郡日高川町鐘巻1738で、和歌山県最古の寺とされます。

話は焼き殺して終わりですか。

終わりません。二人は輪廻転生し、道成寺の住持の読経の供養により成仏するとされます。

道成寺鐘と併せて覚えたい言葉・用語

絵解き(えとき)

絵巻を見せながら説法すること。道成寺で続けられています。

元亨釈書(げんこうしゃくしょ)

1322年の仏教史書。安珍の僧名が初めて見えます。

日高川(ひだかがわ)

清姫が蛇になって渡ったとされる川。寺のそばを流れます。