東京都台東区で、夢に現れて自らの姿を作って祀れと教え、老婆に暮らしを立てさせたという猫。

丸〆の猫とはどんな妖怪か
丸〆の猫はひとことで言えば、自分の像を作らせた猫です。東京都台東区の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、鈴木凡太郎「伝説をもつ東京・神奈川・千葉の玩具」(『旅と伝説』三元社、1935年)を典拠に、浅草花川戸の辺に住んでいた老婆が、年老いて他の家に世話になろうとするときに、猫に暇を与えて泣く泣く他家に赴いた。その夜の夢に猫が出てきて、「我かたちを造らしめ祀る時は福徳自在ならしめん」と教えた。そのため老婆はその通りにして祀り、生活の手段を得てもとの家に住み、この猫を作り物を供えて祀るべきことを言いふらし、世に行われるようになったと記します。
別れが先にあります。
老婆は猫に暇を与え、泣く泣く他家へ行きました。その夜の夢に猫が出てきます。
丸〆の猫の漢字表記と読み方
読みは「まるしめのねこ」です。
「暇を与える」は、ここでは手放して自由にすることです。
「福徳自在」は、財も徳も思いのままになるという意味です。
「今戸焼」は、浅草今戸で焼かれた土の焼き物です。
「丸〆」は、丸の中に〆の字を書いた印を指します。
丸〆の猫(まるしめのねこ)
日文研データベースが示す呼称。
今戸焼の猫(いまどやきのねこ)
記録が示す、作らせた焼き物の呼び方です。
丸〆の猫の姿と特徴
丸〆の猫の話は、記録に順を追って書かれています。
住んでいた人 … 浅草花川戸の辺の老婆。
そのとき … 年老いて他の家に世話になろうとするとき。
したこと … 猫に暇を与えて泣く泣く他家に赴いた。
その夜 … 夢に猫が出てきた。
猫の言葉 … 我かたちを造らしめ祀る時は福徳自在ならしめん。
老婆のしたこと … その通りにして祀った。
その結果 … 生活の手段を得て、もとの家に住んだ。
そのあと … 祀るべきことを言いふらし、世に行われるようになった。
貸し方 … 今戸焼という猫を作らせて人に貸した。
返し方 … 借りた人は心願成就の後に金銀その他を供えて返した。
猫の毛色は書かれていません。
丸〆の猫の伝承記録
猫に暇を与える
浅草花川戸の辺に住んでいた老婆が、年老いて他の家に世話になろうとするときに、猫に暇を与えて泣く泣く他家に赴きました。
別れはやむを得ずでした。
夢に出てくる
その夜の夢に猫が出てきて、「我かたちを造らしめ祀る時は福徳自在ならしめん」と教えました。
教えたのは猫の側です。
もとの家に戻る
老婆はその通りにして祀り、生活の手段を得てもとの家に住みました。
暮らしが立ち直りました。
貸して返す
老婆は今戸焼という猫を作らせて人に貸し、借りた人は心願成就の後には金銀その他色々のものを供えて返しました。
やりとりは貸し借りの形でした。
丸〆の猫の伝承地域
公的データベースの地域欄は東京都台東区を示します。
記録は浅草花川戸と書き、焼き物は今戸焼としています。
丸〆の猫の正体と考えられているもの
丸〆の猫は、夢で自らの像を作らせた猫です。
害をなす話ではありません。 語られているのは、教えた言葉と、それに従った結果です。
土の像を作って貸し、心願がかなったら供えて返すというやりとりの形まで記されています。
丸〆の猫が登場する作品
丸〆の猫を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の伝説雑誌です。
猫の像をまつって福を得る話は江戸の焼き物と結びついて語られました。
丸〆の猫が登場する雑誌
旅と伝説
三元社が出した伝説の雑誌です。1935年の号に伝説をもつ東京・神奈川・千葉の玩具が載ります。
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丸〆の猫についてよくある質問
丸〆の猫とは何ですか。
東京都台東区で、夢に現れて自らの像を作れと教えたと語られる猫です。
猫は何と言ったのですか。
「我かたちを造らしめ祀る時は福徳自在ならしめん」と記録されています。
老婆はどうなりましたか。
生活の手段を得て、もとの家に住んだといいます。
今戸焼とは何ですか。
浅草今戸で焼かれた土の焼き物です。
丸〆の猫と併せて覚えたい言葉・用語
今戸焼(いまどやき)
浅草今戸で焼かれた土の焼き物です。
福徳自在(ふくとくじざい)
財も徳も思いのままになることです。
心願成就(しんがんじょうじゅ)
心から願ったことがかなうことです。
丸〆の猫の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。