静岡県南伊豆町で、金色に光るものを見た者と何も見ない者に分かれたという岩窟。

Totti 「石廊崎の海食崖(静岡県賀茂郡南伊豆町石廊崎)」 2021年 / CC BY-SA 4.0 出典
弥陀窟とはどんな妖怪か
弥陀窟は、見える者と見えない者がいる窟です。静岡県賀茂郡南伊豆町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、小野幸「奥伊豆の伝説二三を語る」(『旅と伝説』三元社、1934年)を典拠に、安政四年、六部が弥陀窟という岩窟に辿り着き、中に黄金色に光る何者かを見た。欲にかられて近付くと潮が満ちて流され死人同然になったところを助けられた。それ以来一儲け企むものが相次いで入ったが、ある者は金色の彌陀像を見たといい、ある者は何度入ってもそれらしきものも見ないというと記します。
結果が割れています。
同じ窟に入っても、見た者と見ない者に分かれました。
弥陀窟の漢字表記と読み方
読みは「みだくつ」です。
「六部」は、経を納めて諸国をめぐる巡礼者のことです。
「安政四年」は西暦一八五七年にあたります。
「弥陀」は阿弥陀仏のことです。
海に面した窟なので、潮の満ち引きが命に関わります。
弥陀窟(みだくつ)
日文研データベースが示す呼称。
弥陀像(みだぞう)
中に見えたとされる像の呼び名です。
弥陀窟の姿と特徴
弥陀窟の話は、記録に順を追って書かれています。
いつ … 安政四年。
入った人 … 六部。
見たもの … 中に黄金色に光る何者か。
したこと … 欲にかられて近付いた。
起きたこと … 潮が満ちて流された。
その状態 … 死人同然。
そのあと … 助けられた。
それ以来 … 一儲け企むものが相次いで入った。
ある者 … 金色の弥陀像を見た。
ある者 … 何度入ってもそれらしきものも見ない。
窟の大きさは書かれていません。
弥陀窟の伝承記録
六部が辿り着く
安政四年、六部が弥陀窟という岩窟に辿り着きました。
入ったのは巡礼者でした。
黄金色に光る何者か
中に黄金色に光る何者かを見ました。
書かれているのは光だけです。
潮に流される
欲にかられて近付くと潮が満ちて流され死人同然になったところを助けられました。
罰したのは潮でした。
見る者と見ない者
それ以来一儲け企むものが相次いで入りましたが、ある者は金色の彌陀像を見たといい、ある者は何度入ってもそれらしきものも見ません。
結果は人によって違いました。
弥陀窟の伝承地域
公的データベースの地域欄は静岡県賀茂郡南伊豆町を示します。
論文名の奥伊豆は、伊豆半島の南部を指す言い方です。
弥陀窟の正体と考えられているもの
弥陀窟は、金色のものが見えると語られた岩窟です。
害をなすものは出てきません。 語られているのは、潮に流されたことと、見た者と見ない者に分かれたことです。
一儲け企む者が入るという書き方に、欲を戒める調子が表れています。
弥陀窟が登場する作品
弥陀窟を単独で扱った本は見当たりません。読めるのは戦前の伝説雑誌です。
海食洞に仏の姿を見る話は各地の海岸にあり、潮の危うさとともに語られます。
弥陀窟が登場する雑誌
旅と伝説
三元社が出した伝説の雑誌です。1934年の号に奥伊豆の伝説二三を語るが載ります。
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弥陀窟についてよくある質問
弥陀窟とは何ですか。
静岡県南伊豆町にあるとされた岩窟で、金色に光るものが見えたといいます。
六部はどうなりましたか。
潮が満ちて流され、死人同然になったところを助けられたといいます。
誰でも見えるのですか。
見た者もいれば、何度入っても見ない者もいたと記録されています。
六部とは何ですか。
経を納めて諸国をめぐる巡礼者のことです。
弥陀窟と併せて覚えたい言葉・用語
六部(ろくぶ)
経を納めて諸国をめぐる巡礼者のことです。
弥陀(みだ)
阿弥陀仏のことです。
岩窟(がんくつ)
岩にできた洞穴のことです。
弥陀窟の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。