静岡県熱海市で、稲叢の格好をして浜を通る人にかぶさってくるという怪。

Yuco 「熱海サンビーチ(静岡県熱海市東海岸町)」 2008年 / CC BY-SA 2.0 出典
イナブラさんとはどんな妖怪か
イナブラさんはひとことで言えば、歩調を合わせてくるものです。静岡県熱海市の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、木村博「―伊豆の妖怪譚―「イナブラさん」と「スマブクロ」」(『民間伝承』45巻2号、六人社、1981年、50頁)を典拠に、晩秋から初冬にかけて「ナライブシダ」が吹く頃、晩に神社下の御浜を通ると、イナブラさんが人を攫いに来る。イナブラ(稲叢)のような格好をしており、人にかぶさってくる。急いで逃げようとすると急いで追いかけて来、立ち止まると向こうも立ち止まると記します。
速さが合わせられます。
急げば急いで追い、止まれば向こうも止まります。 引き離せません。
イナブラさんの漢字表記と読み方
読みは「いなぶらさん」です。
「さん」が付いて呼ばれています。 恐れながらも敬って呼んだ形です。
「ナライブシダ」は、北東から吹く冷たい風のことです。 出る季節が風で示されています。
どちらも同じ論文で並べて報告されたものです。
イナブラさん(いなぶらさん)
日文研データベースが示す呼称。
稲叢(いなむら)
刈った稲を積み上げた山のことで、名の由来にあたります。
イナブラさんの姿と特徴
イナブラさんの姿は、記録に短く書かれています。
出る季節 … 晩秋から初冬、ナライブシダが吹く頃。
出る時 … 晩。
出る場所 … 神社下の御浜。
格好 … イナブラ(稲叢)のよう。
すること … 人にかぶさってくる。
逃げると … 急いで追いかけて来る。
立ち止まると … 向こうも立ち止まる。
顔や手足は書かれていません。
イナブラさんの伝承記録
風の吹く頃
晩秋から初冬にかけて「ナライブシダ」が吹く頃のことです。
出る時期が風で示されています。
稲叢の格好
イナブラ(稲叢)のような格好をしており、人にかぶさってきます。
田で見なれた形が浜に出ています。
合わせてくる
急いで逃げようとすると急いで追いかけて来、立ち止まると向こうも立ち止まります。
離れも近づきもしません。
イナブラさんの伝承地域
公的データベースの地域欄は静岡県熱海市を示します。
典拠の論文は伊豆の妖怪譚と題され、スマブクロと並べて報告されています。
イナブラさんの正体と考えられているもの
イナブラさんは、稲叢の形をしたとされる浜の怪です。
正体は書かれていません。 狸とも霊とも記されず、格好と動きだけが残ります。
攫いに来るとされながら、攫われた人の話は記されていません。
イナブラさんが登場する作品
イナブラさんを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは民俗学の雑誌です。
同じ論文にスマブクロという別の怪も報告されており、伊豆の浜の怪が二つ並びます。
イナブラさんが登場する学会誌
民間伝承
六人社が出した民俗学の雑誌です。1981年の号に伊豆の妖怪譚が載ります。
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イナブラさんについてよくある質問
イナブラさんとは何ですか。
静岡県熱海市の浜で、稲叢の格好をして人にかぶさってくると語られた怪です。
いつ出ますか。
晩秋から初冬、ナライブシダが吹く頃の晩と記録されています。
逃げられますか。
急げば急いで追いかけて来、立ち止まると向こうも立ち止まるといいます。
イナブラとは何ですか。
刈った稲を積み上げた稲叢のことです。
イナブラさんと併せて覚えたい言葉・用語
稲叢(いなむら)
刈り取った稲を田や庭に積み上げた山のことです。
ナライ(ならい)
北東から吹く冷たい風の呼び名です。
御浜(おはま)
神社の下にあたる浜の呼び名です。
イナブラさんの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。