大阪で、釘で打ちつけられても生きていたヤモリ。雌が餌を運んでいた。
蝘蜓とはどんな妖怪か
蝘蜓はひとことで言えば、連れ合いに養われていたヤモリです。大阪府の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、中根香亭「酔迷餘録」(『続日本随筆大成』4巻、1979年、146頁)を典拠に、浪華にある夫婦がいた。時に夫が悪い病気にかかったので、妻に他に嫁ぐように勧めるも妻は承知しなかった。ある日、妻が屋根を見上げると1匹の蝘蜓(ヤモリ)が釘で打ち付けられているのに、なおも生きていた。よく見ると雌の蝘蜓が餌を運んでいるので死なないのだと分かったと記します。
「蝘蜓」はヤモリを指す字です。
「浪華」は大阪の古い呼び名です。
夫婦の話と、ヤモリの話が重ねられています。
蝘蜓の漢字表記と読み方
読みは「えんてい」です。
「蝘蜓」はヤモリを指す字です。家を守るという字を当てて「家守」とも書きます。
「浪華」は大阪の古い呼び名です。
釘で打たれて何年も生きていたヤモリの話は、中国の書物にも見えます。
蝘蜓(えんてい)
日文研データベースが示す表記と読み。
ヤモリ(やもり)
同データベースが併記する呼称。
蝘蜓の姿と特徴
この記録にあるのは、打ちつけられたヤモリです。
場所 … 屋根。
状態 … 釘で打ち付けられている。
それでも … なおも生きていた。
理由 … 雌の蝘蜓が餌を運んでいた。
見た人 … 病の夫を看る妻。
ヤモリの大きさや色は書かれていません。
蝘蜓の伝承記録
嫁ぐよう勧められる妻
浪華に、ある夫婦がいました。
夫が悪い病気にかかりました。
妻に他に嫁ぐように勧めますが、妻は承知しませんでした。
看病を続けます。
この場面が、後の発見に重なります。
雌が餌を運んでいた
ある日、妻が屋根を見上げました。
一匹の蝘蜓が釘で打ち付けられているのに、なおも生きていました。
よく見ると、雌の蝘蜓が餌を運んでいるので死なないのだと分かりました。
動けない連れ合いを、もう一方が養っていました。
妻が見たものが、自分のしていることと同じでした。
蝘蜓の伝承地域
公的データベースの地域欄は大阪府を示します。記録は浪華と記します。
大阪の古い呼び名です。 家の位置までは書かれていません。
蝘蜓の正体と考えられているもの
この記録に妖怪は出てきません。語られているのは、連れ合いを養う姿です。
釘で打たれて何年も生きていたヤモリの話は、中国の書物にも見えます。
この記録の特徴は、夫婦の話と重ねられていることです。
看病を続ける妻が、それを見つけました。
怪異というより、教えのある見聞として書かれています。
蝘蜓が登場する作品
この話は、『酔迷餘録』で読めます。続日本随筆大成4巻に収められています。
釘で打たれたヤモリの話は、中国の書物にも似た例があります。併せて読むと、この見聞の来歴が見えてきます。
蝘蜓が登場する古典籍
酔迷餘録
中根香亭による随筆。この話を載せています。
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蝘蜓についてよくある質問
蝘蜓とは何ですか。
ヤモリを指す字です。この記録では、釘で打ちつけられても生きていたヤモリの話です。
なぜ死ななかったのですか。
雌の蝘蜓が餌を運んでいたためだと分かったと記録されています。
誰が見つけたのですか。
病の夫を看ていた妻です。屋根を見上げて気づきました。
浪華とはどこですか。
大阪の古い呼び名です。
蝘蜓と併せて覚えたい言葉・用語
蝘蜓(えんてい)
ヤモリを指す字です。
浪華(なにわ)
大阪の古い呼び名です。
酔迷餘録(すいめいよろく)
中根香亭による随筆。この話を載せています。
蝘蜓の参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。