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岡山県

コソコソイワ(こそこそ岩)とはどんな妖怪か|姿と伝承

こそこそ岩  / コソコソイワ

そのほか 各地の伝説

岡山県吉備中央町にある幅五尺ほどの岩。夜そばを通ると、こそこそと話す音が聞こえるという。

コソコソイワの姿を描いた図

Reggaeman 「妙本寺の本堂(岡山県加賀郡吉備中央町北)」 2010年 / CC BY-SA 3.0 出典

コソコソイワとはどんな妖怪か

コソコソイワはひとことで言えば、話し声のする岩です。岡山県加賀郡吉備中央町の話です。

夜、その岩の近くを通ると、こそこそと話すような音が聞こえると伝えられました。誰が話しているのか、何を話しているのかは語られません。

記録は二つあります。『岡山文化資料』3巻4号(奥山書店、1931年)と、柳田国男の「妖怪名彙」(『民間伝承』3巻11号・通巻34号、1938年)です。柳田は『岡山文化資料』を引いています。

柳田の記事には、岩の大きさが書かれています。幅五尺ほど、つまり1.5メートルほどです。ここだけが具体的な数字として残りました。

姿はありません。 岩から何かが出てくるとも、人に害を加えるとも記録されていません。音が聞こえるという一点だけで、この岩は名を得ています。

コソコソイワの漢字表記と読み方

読みは「こそこそいわ」です。

「こそこそ」は、ひそひそ話の音をそのまま写した言葉です。擬音がそのまま岩の名になっています。

柳田国男の記事では「コソコイワ」という形も見えます。呼び名の揺れは、耳で聞いた音をどう文字にするかの違いによるものと考えられます。

コソコソイワ(こそこそいわ)

日文研データベースが示す呼称。

こそこそ岩(こそこそいわ)

漢字を交えた一般的な書き方。

コソコイワ(こそこいわ)

柳田の記事に見える書き方。

コソコソイワの姿と特徴

コソコソイワに姿はありません。記録されているのは、岩の大きさだけです。

大きさ … 幅五尺ほど。約1.5メートル。
… 夜。
… こそこそと話すような音。

誰が話しているのかは書かれていません。岩の中に何かがいるとも、岩そのものが話すとも記されていません。

聞こえた人がどうしたか、話しかけたらどうなるかも記録にありません。「近くを通ると音がする」という体験だけが伝えられています。

コソコソイワの伝承記録

  1. 『岡山文化資料』が記録した音
  2. 柳田国男が書き留めた「幅五尺」
  3. 音だけの怪異という形

『岡山文化資料』が記録した音

古いほうの記録は『岡山文化資料』3巻4号です。奥山書店が1931年に出した郷土誌で、日文研データベースは掲載箇所を201頁としています。

記述はごく短く、「夜その岩の近くを通ると、コソコソのような音が聞こえる」という趣旨です。

由来も、正体も、対処も書かれていません。音が聞こえるという事実だけが記されています。

柳田国男が書き留めた「幅五尺」

もう一つは柳田国男の「妖怪名彙」で、『民間伝承』3巻11号・通巻34号(1938年7月20日発行)の12頁にあります。

柳田は『岡山文化資料』を引きつつ、幅五尺ほどのコソコイワと呼ばれる岩があると、大きさを書き添えました。

五尺は約1.5メートルです。 人の背丈ほどの幅を持つ岩、ということになります。

大きさが分かると、話の見え方が少し変わります。山中の巨岩ではなく、道のかたわらにある、通り過ぎられる程度の岩です。日々そこを通る人が、夜だけ音を聞いた、という形になります。

音だけの怪異という形

姿を持たず、音だけで知られる怪異は各地にあります。小豆をとぐ音、木を伐り倒す音、砂を撒く音。耳で捉えたものに名を付けるという語り方は、日本の妖怪では珍しくありません。

コソコソイワはその一つですが、音の内容が人の話し声である点が目を引きます。物音ではなく、誰かが何かを話しているという聞き方です。

話の中身は伝えられていません。 聞き取れなかったのか、聞き取ろうとしなかったのかも分かりません。

分かっているのは、夜・岩のそば・こそこそという声という三つだけです。

コソコソイワの伝承地域

公的データベースの地域欄は、岡山県加賀郡吉備中央町を示します。

岩の所在地を示す番地や道の名は記録されていません。地図で示せるのは、伝承が採録された町の範囲までです。

吉備中央町周辺(きびちゅうおうちょうしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

吉備中央町周辺の所在地:岡山県加賀郡吉備中央町

『岡山文化資料』と柳田国男「妖怪名彙」の地域欄に対応します。

資料には、岩のある道や地点の名がありません。

コソコソイワの正体と考えられているもの

コソコソイワの正体は確定していません。

記録にあるのは、夜に岩のそばで話し声のような音がするという体験だけです。虫、風、水の音といった説明は、どの資料にも書かれていません。

幅五尺という大きさが分かっているだけに、かえって不明な点がはっきりします。岩は特定できるほど具体的なのに、音の出どころは何も分かっていません。

「そこに岩がある」ことと「音がする」ことだけが伝えられ、両者を結ぶ説明は残されなかった——それがこの怪異の形です。

コソコソイワが記録された資料

コソコソイワを扱った小説や映像作品は見当たりません。読めるのは郷土誌柳田国男の記事です。

岡山文化資料』は戦前の郷土誌で、一般の書店では手に入りません。県内の図書館の郷土資料が探し先になります。

コソコソイワが記録された民俗資料

妖怪名彙

柳田国男が『民間伝承』3巻11号(1938年)に載せ、岩の幅を書き添えた記事です。

岡山文化資料

奥山書店が1931年に出した郷土誌で、コソコソイワの話のもとになった記録です。

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コソコソイワについてよくある質問

コソコソイワとはどんな妖怪ですか。

岡山県吉備中央町に伝わる岩です。夜にそばを通ると、こそこそと話すような音が聞こえるといわれました。

何を話しているのですか。

記録されていません。話し声のような音がするとだけ伝えられ、誰が何を話しているのかは書かれていません。

コソコソイワの大きさは分かっていますか。

柳田国男の記事に幅五尺ほどとあります。約1.5メートルで、道のかたわらにある程度の岩と考えられます。

人に害はありますか。

害を加えるという記録はありません。近づいた人がどうなったかも書かれていません。

コソコソイワと併せて覚えたい言葉・用語

五尺(ごしゃく)

約1.5メートル。柳田国男が書き留めた岩の幅です。

岡山文化資料(おかやまぶんかしりょう)

奥山書店が出した戦前の郷土誌。コソコソイワの記録を載せています。

妖怪名彙(ようかいめいい)

柳田国男が『民間伝承』に連載した、各地の妖怪の呼び名を集めた記事です。

コソコソイワの参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「コソコソイワ」(岡山文化資料)
  2. 国際日本文化研究センター「コソコソイワ」(妖怪名彙)