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京都府

稲荷山の霊夢(いなりやまのれいむ)とはどんな妖怪か|姿と伝承

稲荷山の霊夢  / イナリヤマノレイム

そのほか 各地の伝説

京都の稲荷山。三条の鍛冶師が霊夢を受け、山の土を用いて名剣を得たと伝わる。

稲荷山の霊夢の姿を描いた図

そらみみ 「稲荷山の千本鳥居(京都市伏見区)」 2019年 / CC BY-SA 出典

稲荷山の霊夢とはどんな妖怪か

稲荷山の霊夢はひとことで言えば、鍛冶が稲荷を信じる理由です。京都府の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、坂内直頼山城四季物語』(『続日本随筆大成別巻』11巻、1983年、162頁)を典拠に、次のように記します。

当社を鍛冶師が崇敬するのは、昔、三条の鍛冶師が土祖神を信仰して霊夢を受け、稲荷山の土を刃の湯に合わせれば、素晴らしい名剣を得ると告げられた。鍛冶師はその通りにして名を世上に現し、天下に並ぶ作はなかったという。このため、鍛冶師をはじめ一切の金物師が、当社を信仰するのである

三条の鍛冶師は、京の三条で刀を鍛えた者を指します三条宗近の名がよく知られます。

刃の湯は、刃を焼き入れる水とみられますそこに稲荷山の土を合わせよ、という夢の告げです。

信仰の由来として語られています。

稲荷山の霊夢の漢字表記と読み方

読みは「いなりやまのれいむ」です。

日文研データベースの呼称は「稲荷山,鍛冶」ですが、そのままでは記事の題になりませんこの図鑑では、話の中心である霊夢を見出しにしています。

霊夢は、神仏のお告げを受ける夢です土祖神(つちのみおや)は、土を司る神を指します

稲荷山の霊夢(いなりやまのれいむ)

この図鑑での見出し。記録の呼称は「稲荷山,鍛冶」です。

稲荷山(いなりやま)

日文研データベースが示す呼称の一部。

稲荷山の霊夢の姿と特徴

この話に妖怪の姿はありません。記録にあるのは、夢の告げと結果です。

信仰した神 … 土祖神。
受けたもの … 霊夢。
告げ … 稲荷山の土を刃の湯に合わせれば、素晴らしい名剣を得る。
結果 … 名を世上に現し、天下に並ぶ作はなかった。
その後 … 鍛冶師をはじめ一切の金物師が当社を信仰した。

神の姿は記録されていません。

稲荷山の霊夢の伝承記録

  1. 土を刃の湯に合わせる
  2. 金物師が稲荷を信じる

土を刃の湯に合わせる

告げは具体的です。 稲荷山の土を刃の湯に合わせよ

刃の湯は、焼き入れに使う水とみられます刀の出来を左右する工程です。

そこに、山の土を合わせます。

土地の土が、刀の質を決めるという考え方です。

そのとおりにすると、天下に並ぶ作はなかったといいます。

金物師が稲荷を信じる

記録の結びは、このため、鍛冶師をはじめ一切の金物師が、当社を信仰するのであるです。

一つの成功譚が、職人全体の信仰の由来になっています。

稲荷は、もともと稲の神でした。そこに、鍛冶の神としての顔が重なります。

火と鉄を扱う仕事には、危険が伴います。 神に頼る理由がありました。

この記録は、その理由を物語の形で伝えています。

稲荷山の霊夢の伝承地域

記録は当社と記し、その背後の稲荷山が舞台です伏見稲荷大社は京都市伏見区にあります。

土を取った場所は書かれていないため、地図で指せるのは山の範囲までです。

稲荷山(いなりやま)

記録が舞台とする社と山

地図で開く

稲荷山の所在地:京都府京都市伏見区深草藪之内町68

記録は「当社」と記します。伏見稲荷大社の背後が稲荷山です。

土を取った場所は資料に書かれていません。

稲荷山の霊夢の正体と考えられているもの

この話に妖怪は出てきません。語られているのは、信仰の由来です。

三条の鍛冶師土祖神を信仰し、霊夢を受けました。

告げのとおりに稲荷山の土を使うと、名剣ができました。

そこから、鍛冶師と金物師が稲荷を信じるようになったと記録されています。

刀鍛冶と稲荷の結び付きは、小狐丸の伝説などでも語られます。この記録は、その理由を土に求めた例です。

稲荷山の霊夢が登場する作品

この話は、『山城四季物語』で読めます。続日本随筆大成に収められています。

稲荷信仰刀鍛冶の関係については、伏見稲荷大社の資料や刀剣の本でも触れられます。併せて読むと背景が見えます。

稲荷山の霊夢が登場する古典籍

山城四季物語

坂内直頼による江戸期の書。稲荷山と鍛冶の話を載せています。

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稲荷山の霊夢についてよくある質問

稲荷山の霊夢とは何ですか。

三条の鍛冶師が土祖神を信仰して受けた夢の告げです。稲荷山の土を刃の湯に合わせれば名剣を得ると告げられました。

結果はどうなりましたか。

鍛冶師は名を世上に現し、天下に並ぶ作はなかったと記録されています。

なぜ金物師が稲荷を信仰するのですか。

この故事によると記録されています。鍛冶師をはじめ一切の金物師が信仰したとあります。

土祖神とは何ですか。

土を司る神を指します。鍛冶師が信仰していたと記録されています。

稲荷山の霊夢と併せて覚えたい言葉・用語

霊夢(れいむ)

神仏のお告げを受ける夢です。

刃の湯(はのゆ)

刃を焼き入れる水とみられます。ここに山の土を合わせよと告げられました。

土祖神(つちのみおや)

土を司る神。鍛冶師が信仰していたとされます。

稲荷山の霊夢の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「稲荷山,鍛冶」