香川県綾川町で、仏飯を食べて山へ行くと現れ「人間がかざる」「ブツがかざる」と言って通り過ぎたという妖怪。

Tadashi Sugiyama 「瀧宮神社(香川県綾歌郡綾川町滝宮)」 2016年 / CC BY-SA 2.0 出典
ユルギカキとはどんな妖怪か
ユルギカキはひとことで言えば、匂いを嗅ぎ分けて通り過ぎたものです。香川県綾歌郡綾川町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、水野一典「香川県綾上町妖怪名彙」(『四国民俗』、1981年)を典拠に、オオビタキのことをユルギカキとも言うと記します。オオビタキが何を指すかは、記録に説明がありません。
続けて、こう伝えます。昔、仏飯を食べて山へ行くと向こうからユルギカキが来たので隠れていると、「人間がかざる」「ブツ(ほとけ)がかざる」と言って通り過ぎた。
「かざる」は、匂うという意味の言い方とみられます。 隠れた人の人の匂いと、食べた仏飯の匂いの両方を、ユルギカキは言い当てています。
姿は記録されていません。
ユルギカキの漢字表記と読み方
読みは「ゆるぎかき」です。
語の由来は記録されていません。「揺るぎ」「掻き」と分けて読める形ですが、説明は書かれていません。
記録は、オオビタキのことをユルギカキとも言うと伝えます。二つの呼び名が同じものを指していたことは分かりますが、その正体が何かは書かれていません。
ユルギカキ(ゆるぎかき)
日文研データベースが示す呼称。
オオビタキ(おおびたき)
記録が「同じものを指す」とする呼び名。
ユルギカキの姿と特徴
ユルギカキの姿は記録されていません。分かるのは振る舞いだけです。
場所 … 山。
きっかけ … 仏飯を食べて山へ行った。
動き … 向こうから来る。隠れた人のそばを通り過ぎる。
言葉 … 「人間がかざる」「ブツがかざる」。
姿を見た記録が無いのに、言葉ははっきり残っています。
ユルギカキの伝承記録
仏飯を食べて山へ行く
仏飯は、仏壇に供えた飯です。供えたものを下げて食べるのは、日々の暮らしの中の習わしでした。
その飯を食べて山へ入ったとき、ユルギカキが向こうからやって来ます。人は隠れました。
隠れたのに、気づかれています。
匂いで人の居場所が知れる、という筋です。
「人間がかざる」「ブツがかざる」
ユルギカキが言ったのは二つの言葉です。人間がかざる、ブツ(ほとけ)がかざる。
「かざる」は匂うという意味の言い方とみられます。隠れている人の匂いと、その人が食べた仏飯の匂いを、それぞれ言い当てています。
そして、通り過ぎました。 襲うことも、探し出すこともしていません。
仏に供えたものを口にしていたことが、身を守ったとも読める形です。ただし、記録はそこまで書いていません。
ユルギカキの伝承地域
公的データベースの地域欄は香川県綾歌郡綾川町を示します。採録当時の綾上町は、合併により現在の綾川町の一部です。
集落や道の名は記録されていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
綾川町周辺(あやがわちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
綾川町周辺の所在地:香川県綾歌郡綾川町
採録地の綾上町は、合併して現在の綾川町になりました。
資料には、ユルギカキが現れたとされる山の名がありません。
ユルギカキの正体と考えられているもの
ユルギカキの正体は分かっていません。
記録は、オオビタキのことをユルギカキとも言うと伝えますが、オオビタキが何かを説明していません。
姿の記述もありません。 分かるのは、山にいて、匂いを嗅ぎ分け、言葉を話すということだけです。
人を襲わずに通り過ぎたことから、必ずしも人を害するものとして語られていなかったことが分かります。
ユルギカキが記録された資料
ユルギカキを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは水野一典の報告です。
仏飯や供え物が身を守るという語りは各地にあります。併せて読むと、この短い話の位置づけが見えてきます。
ユルギカキが記録された民俗資料
香川県綾上町妖怪名彙
水野一典が『四国民俗』(1981年)に載せた中心資料です。
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ユルギカキについてよくある質問
ユルギカキとはどんな妖怪ですか。
香川県綾川町に伝わる妖怪です。山で人のそばを通り、「人間がかざる」「ブツがかざる」と言って通り過ぎたと記録されています。
「かざる」とはどういう意味ですか。
匂うという意味の言い方とみられます。隠れた人の匂いと、食べた仏飯の匂いを言い当てた形です。
オオビタキとは何ですか。
記録に説明がありません。同じものを指す呼び名だとだけ書かれています。
姿は分かっていますか。
分かっていません。姿の記述はなく、言葉と振る舞いだけが残っています。
ユルギカキと併せて覚えたい言葉・用語
仏飯(ぶっぱん)
仏壇に供えた飯。これを食べて山へ行ったことが話の前提です。
かざる(かざる)
匂うという意味の言い方とみられます。記録に説明はありません。
オオビタキ(おおびたき)
記録がユルギカキと同じものとする呼び名。中身は説明されていません。
ユルギカキの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。