秋田県大仙市の塚に自ら入って埋めてもらった巫女。百年ほど鈴の音がし、姿が杉の梢に現れた。

アサヒミコとはどんな妖怪か
アサヒミコはひとことで言えば、自ら土に入った巫女です。秋田県大仙市角間川町の話です。
国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、藤原相之助「山伏の「石子詰」起源改」(『旅と伝説』7巻10号・通巻82号、1934年、14頁)を典拠に、次のように記します。
アサヒミコ塚というのは、アサヒミコが自ら穴を掘って入り、村人に頼んで埋めてもらったもの。埋まってから百年ほどの間は、時々鈴の音が聞こえたり、千早舞衣の姿が、塚に植えられた大杉の梢の上に現れたという。
自分から土に入っています。
千早(ちはや)は巫女が着る上衣、舞衣は舞のときの衣です。巫女の装束のまま現れたということになります。
なぜ入ったのかは記録されていません。
アサヒミコの漢字表記と読み方
読みは「あさひみこ」です。
「ミコ」は巫女にあたります。神につかえ、託宣や祈りを行う女性です。
「アサヒ」は朝日とみられますが、記録に説明はありません。名の由来も書かれていません。
塚の名としても、そのまま使われています。
アサヒミコ(あさひみこ)
日文研データベースが示す呼称。
アサヒミコ塚(あさひみこづか)
塚の呼び名。
アサヒミコの姿と特徴
アサヒミコの姿は、千早舞衣の巫女です。
場所 … 自ら入った塚。植えられた大杉。
音 … 時々、鈴の音。
姿 … 千早舞衣の姿が、大杉の梢の上に現れる。
期間 … 埋まってから百年ほどの間。
恐ろしい姿としては記録されていません。
塚の大きさ、いつのことかも書かれていません。
アサヒミコの伝承記録
自ら穴を掘って入る
話の核心は、アサヒミコが自ら穴を掘って入り、村人に頼んで埋めてもらったという一点です。
罰や刑としてではなく、本人の意思による埋葬として語られます。
生きたまま土に入る行いは、入定(にゅうじょう)として僧の例が知られます。祈りのために自ら断つ形です。
アサヒミコがなぜそうしたのかは書かれていません。 村人が手を貸したことだけが記録されています。
百年、鈴が鳴る
埋まってからのことも記録されています。百年ほどの間、時々鈴の音が聞こえた。
鈴は、巫女が神楽や祈りで鳴らす道具です。土の下から、その音がしました。
さらに、千早舞衣の姿が、塚に植えられた大杉の梢の上に現れたといいます。
祟りとしては語られていません。 装束のままの姿が、木の上に立つ。祈りが続いているような形です。
百年ほどで、それも絶えました。
アサヒミコの伝承地域
公的データベースの地域欄は秋田県大仙市角間川町を示します。
塚の現在地は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。
角間川町周辺(かくまがわちょうしゅうへん)
日文研データベースが示す伝承地域
角間川町周辺の所在地:秋田県大仙市角間川町
藤原相之助の記事の地域欄に対応します。
塚の現在地は資料に書かれていません。
アサヒミコの正体と考えられているもの
アサヒミコは、記録では巫女とされています。妖怪として語られてはいません。
怪異にあたるのは、土の下から鈴の音がしたことと、梢に姿が現れたことです。
入定のように、自ら土に入る行いは、祈りの極みとして語られてきました。アサヒミコの話も、その形に近いものです。
なぜ入ったのか、何を祈ったのかは記録されていません。 残ったのは、塚と鈴の音です。
アサヒミコが記録された資料
アサヒミコを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。
題にある石子詰は、穴に落として石で埋める刑です。自ら入る形との違いを考えながら読むと、話の位置づけが見えてきます。
アサヒミコが記録された民俗資料
山伏の「石子詰」起源改
藤原相之助が『旅と伝説』7巻10号(1934年)に載せた中心資料です。
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アサヒミコについてよくある質問
アサヒミコとは何ですか。
秋田県大仙市の塚に自ら入って埋めてもらったという巫女です。塚はアサヒミコ塚と呼ばれます。
どんな怪異が起きたのですか。
埋まってから百年ほど、時々鈴の音が聞こえ、千早舞衣の姿が大杉の梢に現れたと記録されています。
なぜ自ら埋まったのですか。
理由は記録されていません。村人に頼んで埋めてもらったとだけ伝えられています。
塚は今もありますか。
資料に現在地の記載はありません。日文研データベースの地域欄は大仙市角間川町を示します。
アサヒミコと併せて覚えたい言葉・用語
千早(ちはや)
巫女が着る上衣。姿が現れたときの装束です。
入定(にゅうじょう)
僧が生きたまま土中に入る行い。自ら土に入る形の例です。
旅と伝説(たびとでんせつ)
戦前の民俗雑誌。アサヒミコの記録が載りました。
アサヒミコの参考資料
この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。