本文へ移動

秋田県

アサヒミコ(アサヒミコ塚)とはどんな妖怪か|姿と伝承

アサヒミコ  / アサヒミコ

幽霊と霊 各地の伝説

秋田県大仙市の塚に自ら入って埋めてもらった巫女。百年ほど鈴の音がし、姿が杉の梢に現れた。

アサヒミコの姿を描いた図

掬茶 「大仙市立角間川小学校(秋田県大仙市角間川町)」 2026年 / CC BY-SA 出典

アサヒミコとはどんな妖怪か

アサヒミコはひとことで言えば、自ら土に入った巫女です。秋田県大仙市角間川町の話です。

国際日本文化研究センターの怪異・妖怪伝承データベースは、藤原相之助山伏の「石子詰」起源改」(『旅と伝説』7巻10号・通巻82号、1934年、14頁)を典拠に、次のように記します。

アサヒミコ塚というのは、アサヒミコが自ら穴を掘って入り、村人に頼んで埋めてもらったもの。埋まってから百年ほどの間は、時々鈴の音が聞こえたり、千早舞衣の姿が、塚に植えられた大杉の梢の上に現れたという

自分から土に入っています。

千早(ちはや)は巫女が着る上衣、舞衣は舞のときの衣です。巫女の装束のまま現れたということになります。

なぜ入ったのかは記録されていません。

アサヒミコの漢字表記と読み方

読みは「あさひみこ」です。

ミコ」は巫女にあたります。神につかえ、託宣や祈りを行う女性です。

アサヒ」は朝日とみられますが、記録に説明はありません。名の由来も書かれていません。

塚の名としても、そのまま使われています。

アサヒミコ(あさひみこ)

日文研データベースが示す呼称。

アサヒミコ塚(あさひみこづか)

塚の呼び名。

アサヒミコの姿と特徴

アサヒミコの姿は、千早舞衣の巫女です。

場所 … 自ら入った塚。植えられた大杉。
… 時々、鈴の音。
姿 … 千早舞衣の姿が、大杉の梢の上に現れる。
期間 … 埋まってから百年ほどの間。

恐ろしい姿としては記録されていません。

塚の大きさ、いつのことかも書かれていません。

アサヒミコの伝承記録

  1. 自ら穴を掘って入る
  2. 百年、鈴が鳴る

自ら穴を掘って入る

話の核心は、アサヒミコが自ら穴を掘って入り、村人に頼んで埋めてもらったという一点です。

罰や刑としてではなく、本人の意思による埋葬として語られます。

生きたまま土に入る行いは、入定(にゅうじょう)として僧の例が知られます。祈りのために自ら断つ形です。

アサヒミコがなぜそうしたのかは書かれていません。 村人が手を貸したことだけが記録されています。

百年、鈴が鳴る

埋まってからのことも記録されています。百年ほどの間、時々鈴の音が聞こえた

は、巫女が神楽や祈りで鳴らす道具です。土の下から、その音がしました。

さらに、千早舞衣の姿が、塚に植えられた大杉の梢の上に現れたといいます。

祟りとしては語られていません。 装束のままの姿が、木の上に立つ。祈りが続いているような形です。

百年ほどで、それも絶えました。

アサヒミコの伝承地域

公的データベースの地域欄は秋田県大仙市角間川町を示します。

塚の現在地は書かれていないため、地図で指せるのは町の範囲までです。

角間川町周辺(かくまがわちょうしゅうへん)

日文研データベースが示す伝承地域

地図で開く

角間川町周辺の所在地:秋田県大仙市角間川町

藤原相之助の記事の地域欄に対応します。

塚の現在地は資料に書かれていません。

アサヒミコの正体と考えられているもの

アサヒミコは、記録では巫女とされています。妖怪として語られてはいません。

怪異にあたるのは、土の下から鈴の音がしたことと、梢に姿が現れたことです。

入定のように、自ら土に入る行いは、祈りの極みとして語られてきました。アサヒミコの話も、その形に近いものです。

なぜ入ったのか、何を祈ったのかは記録されていません。 残ったのは、塚と鈴の音です。

アサヒミコが記録された資料

アサヒミコを単独で扱った本は見当たりません。読めるのは『旅と伝説』の記事です。

題にある石子詰は、穴に落として石で埋める刑です。自ら入る形との違いを考えながら読むと、話の位置づけが見えてきます。

アサヒミコが記録された民俗資料

山伏の「石子詰」起源改

藤原相之助が『旅と伝説』7巻10号(1934年)に載せた中心資料です。

東北の妖怪の本を探す

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

アサヒミコについてよくある質問

アサヒミコとは何ですか。

秋田県大仙市の塚に自ら入って埋めてもらったという巫女です。塚はアサヒミコ塚と呼ばれます。

どんな怪異が起きたのですか。

埋まってから百年ほど、時々鈴の音が聞こえ、千早舞衣の姿が大杉の梢に現れたと記録されています。

なぜ自ら埋まったのですか。

理由は記録されていません。村人に頼んで埋めてもらったとだけ伝えられています。

塚は今もありますか。

資料に現在地の記載はありません。日文研データベースの地域欄は大仙市角間川町を示します。

アサヒミコと併せて覚えたい言葉・用語

千早(ちはや)

巫女が着る上衣。姿が現れたときの装束です。

入定(にゅうじょう)

僧が生きたまま土中に入る行い。自ら土に入る形の例です。

旅と伝説(たびとでんせつ)

戦前の民俗雑誌。アサヒミコの記録が載りました。

アサヒミコの参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 国際日本文化研究センター「アサヒミコ」